まだOPENして間もない時間なのに、店の中にはすでに複数の客がいた。全員が一斉にぼくを見る。そして全員が笑みを浮かべて僕に朝の挨拶をしてくれた。それもその筈、みんなぼくが呼んでこの店に集まってもらったのだから。
第17話文末
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「もうひとつのラスト」 第18話
実は今朝、香瑠がシャワーを使っている間に僕が佑一に電話を入れておいたのだ。
だから今この店にいる客は、佑一とその奥さんの由佳さんと二人の長女、千春・・・と?もう一人の女性は?・・・。
あ!ぼくは声を立ててしまった。
「貴女は!・・・」
「久しぶりね」と言って手を差し伸べながら僕に近づいて来る。
「香音(こうね)さん!」
「ただいま、今帰ったわ」
香音さんは、香瑠の実のお姉さんである。
姉妹揃って同じような顔をして、同じセリフをまるで用意していたかのように言うものだ。だが今はそのことに触れるつもりはない。
「驚いたなぁ・・・。一体いつ帰ってこられたんですか?」
「あら、私は招かれざる人だったのかしら?」
差し出していた手を下して香音はそう言った。
とんでもない!って顔をしてぼくは両方の手のひらを胸の前で振って見せたあと、すぐに彼女の手を握りしめながら言った。
「ぼくが驚いているのは、今日のこのタイミングのことで・・・」
そこまで言って佑一を見た。
「ぼくが教えたんじゃない。さっきここへ来る途中偶然お会いして・・・びっくりしたよ。香瑠にそっくりだったから」
うん、そう。と千春が言った。
「で、話しかけてみたら香瑠さんのお姉さんだと仰るから、ここにお連れするべきなんじゃないかって・・・佑一とそうしようってことになって」
「ああ、そうだとも!大歓迎だよ・・・ただ・・・」
「ただ、何?・・・」怪訝な顔をして香音が言った。
「あ、ええその、手紙が一通、行方不明になったかなって・・・」
ぼくは遠慮がちにそう言った。
「なに?はっきりしないわねえ・・・」
香音は腰に手を当て、目を細くして上目遣いにぼくを見てる・・・。
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