第3章 4参政権
今まで自由権についてお話してきました。次は参政権です。参政権は国民が国家の政治に参加する権利でした。ということは参政権のもっとも代表的なものは選挙権です。国民が国政を運営する者を選ぶことこそが、国家の政治に参加するといえるのです。第十五条 公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。 ○2 すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。 まず、政治について判断できる者全てに選挙権を保証する必要があります。国民の一部にのみ選挙権を保障したのでは国民が国家の政治に参加しているといえないからです。第十五条 ○3 公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。 そして、単に選挙権を保証するだけでは万全とはいえません。まず、国民が自由に選挙できるように投票の秘密が保障されています。自分が誰に投票したのか他人に知られたのでは投票しづらくなるからです。第十五条○4 すべて選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない。選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問はれない。 また、14条の平等権は選挙についても保障されると考えられます。なので、一人につき1票しか認められません。これが平等選挙です。ただ、形式的に1人1票を認めても実質的には不平等な場合があります。例えば有権者10人の選挙区Aで1人を選出する場合と、有権者50人の選挙区Bで1人を選出する場合を考えてください。選挙区Aの有権者一人当たりの1票の価値は10分の1であり、選挙区Bの有権者一人当たりの1票の価値は50分の1となります。これでは、選挙区Aの有権者の発言力は選挙区Bの有権者の発言力の5倍と考えてもいいでしょう。これは不平等です。これがたまに問題になる「1票の格差」の問題です。ちょっと知っておいてください。また、選挙において誰にも投票したくない場合もありえます。その場合に投票を強制しても意味がありません。そこで憲法に書いてはいませんが、棄権をする自由も認められています。それと、国民の意思を国家に伝えるには国民が直接議員を選ぶことが必要です。そこで、選挙は直接選挙であることが必要です。これも憲法に書かれてはいませんが保障されています。以上が参政権の内容です。