電子書籍3 資本主義社会とは何か ~お金を貸せば金利が発生する~
株式投資を行うにあたり、まず必要になるのはなんでしょうか。 株式投資の基礎的用語を理解する?四季報を読めるようになる?ファンダメンタル分析ができるようになる? 全部違います。僕は、株式投資を行うにあたりまず必要になるのは、資本主義社会とは何かを理解する、という事だと考えています。 資本主義社会とは、時間をかけると資本は増殖する、という社会です。突き詰めれば、 お金を借りると金利が発生する、ということです。これが資本主義社会で最も重要なことで、 資本主義社会の大前提となるものです。ここが崩れると資本主義社会は成り立ちません。 資本は長期的に自らを増幅させる意図をもって動いています。資本主義社会では時間と共に資本が増え続けるために、経済が成長し続ける必要があります。そのために経済成長が必要であり、経済成長のもとになる投資が必要になります。 投資の一部が株式投資です。投資は何も株式投資ばかりではありません。株式投資の他にも不動産投資であったり、設備投資であったり、或いは人的資本への投資であったり、 色々あります。健全な欲望を基にして、将来の利益を目的に投資を行う活動が、経済成長に繋がります。経済成長をするという事は、市場が拡大して大きくなる、ということです。そして、市場が拡大して大きくなった利益は、最終的に投資家に還元されます。持続して投資をしなければ経済成長は続かないので、資本主義社会が成り立つためには、長期的に、投資した資金は全体として増え続ける必要があります。これは、良いか悪いか、という話ではありません。資本主義社会の前提であり、そのような前提の上で僕たちの社会は成り立っている、という事です。 高い経済成長をさせるために、多くの利益を享受するために、社会全体として、お金を借りて投資をすることになります。お金を借りれば金利が発生します。時間が経過した後は、その時間に応じた金利を併せて返済しないといけません。その為、全体として、金利以上の経済成長をし続けないと成り立たないことになります。先行投資をすることで社会全体の生産性が向上し、経済成長に繋がる。この経済成長分が、株式時価総額の増加に繋がり、長期的に株式市場は拡大を続けます。 株式市場の時価総額は経済成長によって長期的に増加します。しかし、株式市場の時価総額の増加率は経済成長率と一致しません。株式市場の評価額は投資家の評価の集合体で、経済環境によって、楽観的であったり悲観的であったりするからです。しかし、実体経済と株式市場が大きく乖離すると、何れ乖離分は是正されます。乖離分が大きければ大きいほど、是正も大きくなります。あくまで、基本は実体経済がベースです。実体経済ありきで考えなければいけません。経済動向に大きく影響のある金利や債券市場などの 影響を受けつつ、株価は変動を続けます。 長くなりましたが、大事なことですので繰り返します。ここをしっかり押さえておかないと、 地に足がついていない投資家になります。 株式市場で投資を行う上で大切なこと。それは、僕たちは資本主義社会というルールの上で投資活動を行う、ということ。そして資本主義社会というのは、時間を掛ければ資本は増幅する前提の社会で、それは、突き詰めれば、お金を借りると金利が発生する社会、ということ。資本主義社会を成り立たせるためには、長期的に経済は成長する必要があり、そしてそれには健全な欲望を基にして、僕たちが投資活動を行う必要がある。先行投資により生産性を向上させることができ、生産性の向上により実体経済が成長し、そのことが株式市場に上場する企業の時価総額の増加をもたらす。株式市場は投資家の評価によって価格が決まり、実体経済と完全に一致する訳ではない。実体経済と株式市場が大きく 乖離すると、それは何れ是正される。短期的、或いは中期的に株価はしばしば大きく変動するが、長期的には、実体経済の成長と株式市場の成長は、ある程度の相関関係がある。 ここまではよろしいでしょうか。 投資家たるもの、この内容を腹の底から理解していないといけません。