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テーマ:最近観た映画。(39320)
カテゴリ:映画
この1年は、以前に比べてだいぶ映画館に足を運ぶ回数が増えました。プライベートの自由時間が確保されたことがいちばんの理由なのでしょうが、周りの友人に触発されたことも一因です。年に100本以上見る友人に比べれば、全然たいしたことはありませんが…
今日見てきたのは、イタリア映画の「蟻の王」という作品です。 SuedeとManicsのライヴの時に、有楽町で見ようと思っていましたが…グッズ売り場に並ぶ方を選んだ私は、見る機会を逃してしまっていました。ところが今回、地元でひっそりと上映されているのを知り、これは行かねば!と出かけたのです。 なんと観客は私ひとり!でしたが、ゆったりと見られました。そして、思う存分涙してきました。 1960年代のイタリアで、同性愛は「一般の」人々の間では、忌むべきものだったようです。 そんな中、蟻の研究者にして劇作家のアルドは、ひとりの若者に出会います。エットレという名の彼と言葉を交わした瞬間、2人の恋は始まりました。 しかし、時代はそんな彼らの愛を許しません。エットレの家族は、無理やり彼を連れ戻し、矯正するための電気ショック療法にかけてしまうのです。そしてアルドは教唆罪で逮捕されてしまいました。 アルドとエットレ、2人の間に芽生える感情が愛に変わるさまを、2人の俳優が細やかに演じています。アルド役のルイジ・ロ・カーショの知的な雰囲気には文句なく引き込まれますが、それ以上に素晴らしいと感じたのは、レオナルド・マルテーゼ演じるエットレ!ルックスも繊細な美青年なのですが、アルドと出会ったばかりのころの無垢さ、恋を覚えたときの眼差し、電気ショックで精神に変調を来しながらもアルドへの思いを告げるあの法廷シーンはもう、圧巻でした。私はここで泣きました。精神を壊され、以前のような抜けるような聡明さを失いながらも、瞳の奥からあふれ出るアルドへの思いに、涙腺崩壊でした。 最初はイヤイヤながらも法廷取材にやってきた記者エルニオが、だんだんとこの裁判にのめり込んでいく様子や、アルドと築いた信頼関係もいい味出してます。 アルドが無罪になって、エルニオの記事が大きく取り上げられて…なんて結末があれば、と思ったりもしますが、当然ながら、これは事実ベースの物語。現実は厳しいものでした。 アルドとエットレのラストシーンには、わずかの光と大きな悲しみが見え隠れします。 本当に重いテーマでした。見ているのが辛くなる瞬間もありました。けれど、見てよかったと思える映画でした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2023.12.29 20:39:09
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