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亮輔と阿須賀、そして真輝の見舞い。
それに、ルシアと肇からの見舞いと男性の逮捕の話を聞かされて5日目の朝だった。 陽織、完全復活。 「ん~~~。良く寝た~~~。」 …が…。今度は。 「え゛っ???…うそ―――――っ!!!」 その声に台所で幸乃、キョトンとして、 「…って…。陽織…。」 陽織、パジャマ姿のまま、台所の入り口で柱に寄り掛かりながら…。 目をぐるりと…。そして頭を傾げて…。そして今度は額に左手を当てて俯くように…。 そんな陽織を黙って見ている幸乃。 凡そ3秒…。 「だめだ。…全~~然、覚えてない。」 つまりは、こういう事のようだ。 凡そ1週間前。エンカントにていつもの通りに…。 ただ…、客が何かしら…。そこまでは記憶はある。 けれども、男性客との事。そして…、寝込んでしまった事。 それから亮輔や阿須賀、そして真輝が来た事。 しかも、熊沢の往診も、ルシアや肇が見舞いに来て男性客が逮捕された事もろとも…。 それに…、ここ、2週間ほどの…、それこそ、柚香の知らない事までも知っていたはずの記憶も。 そして…ヤンキー気質も大人びた感覚…、それすらも…。 また元の2歳の頃の記憶しかなかった陽織に戻ってしまっていたのだった。 これにはさすがに幸乃も…。 陽織を大学に送り出してから…。熊沢に。そして、藪岡に。 藪岡、 「とにかく、大変でしたね~~。私も、急遽、この2週間はあちこちに出掛けていて陽織ちゃんの事。」 幸乃、 「いいえ~~。」 「とにかく。また、何かありましたら是非。」 幸乃スマホを耳に、お辞儀をしながら、 「ありがとうございます。」 そして幸乃、通話を切り、 「さてと。」 テーブルに両手を…。 そして…、腰を浮かせた、その時だった。 バタリと…。 陽織、いつも通りに大学に。 すると、絢美も心都も、 「おはよ~~、柚香~~。体…、大丈夫~~???…休んで1週間程…、なっちゃうけど~~。」 そんなふたりに陽織、困ったような顔をして、 「あ~~。うんうんうん。ごめ~~ん。心配掛けちゃったね~~。」 そんな陽織、復活した事を、まだ、真輝や亮輔、そして阿須賀にすら電話もラインもしていない。 話をしてややっこしくなるのが嫌だったのだ。 ただ…。 お昼。柚香のスマホに真輝からの着電。 「あ、もしもし、私~~。」 いきなり、 「へっ…???柚香さん…???」 その声に陽織、一瞬、 「えっ…???…あっ。ううん…。違う。…私…。」 スマホからの声、 「あ。…て事は…。陽織…ちゃん…???…って、治った…???…復活…???」 「あ、あ~~あ~~。うん。」 そして…、変顔で、 「お、お蔭様で…。うん。」 目の前の絢美と心都をチラチラと見ながらも…。 スマホから、 「良かったよ~~。スマホに、出るとは、思わなかったけど…、もしかしてって、思って。」 真輝からである。 陽織、 「ごめ~~ん。私も…、連絡しなきゃって思ってたんだけど~~。」 「それは、そうと…。おばあさん…、どうかした…???…電話、全然、出ないんだけど…。」 その声に陽織、 「おばあちゃん…???」 いきなり両眉の先端を吊り上げて…。そして、今度は頭を傾げて、首を振って、 「ううん…。」 箸を口に。そして、 「別に…、朝、普通に家、出て来たけど…。」 「おっかしぃな~~。陽織ちゃん、どんな感じ…???…って、聞こうと何度もおばあさんのスマホに電話してたんだけど…。全く出なくって。」 「うそでしょ。」 今度は陽織、右目を歪めて。 「分かった。私も電話してみる。」 真輝、 「うん。頼む。とにかく良かった。元気になって。」 陽織、ニッコリと、 「ありがと。」 通話を切る。 絢美、ニタニタとしながら、 「何~~。彼氏~~???」 いきなり目を丸く陽織、そして口をおちょぼ口にして、 「そんなんじゃないよ~~。って、ちょっとごめんね。」 陽織、画面から、 「おばあちゃん。」 指でトン。 …そして…、5回。10回。…けれども…。 今度は陽織、深刻そうな顔をして、 「ん~~~んん???」 そして、今度は真輝に。 「もしもし、私。出ないよ。」 真輝、 「だろ…。」 今度は慌てて陽織、スマホに、 「ごめん。切るよ。」 陽織、途端に弁当を仕舞って、 「ごめん、絢美、心都。ちょっと、私、家、帰るわ。」 いきなり絢美も心都も、 「へっ…???」 「どしたの…???」 そんなふたりに陽織、ぐしゃりとした顔で、傾げて、 「ん~~。ちょっと~~。分かんないけど…。何か、気になる。」 絢美、 「気になる…???」 トーンを上げて。 心都、 「気になる…。」 こっちはトーンを下げて…。 陽織、ふたりに左手を立てて、 「ごめん。」 絢美、心都、柚香に、 「あ、うん。…気を付けて。」 陽織、 「ありがと。」 陽織、駆け足で…。 そして、駅。電車の中でも落ち着かず…。 凡そ30分。玄関に、 「ただいま~~。おばあちゃん…???」 そそくさと。 そして、茶の間。 「おばあちゃんっ!!!」 LIBRA~リブラ~ vol,190. 5日目の朝だった。陽織、完全復活。 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023.07.09 08:49:56
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