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そんな愛実の声に柚香、
「どこも…悪く…ないんだ…けど…。」 「だったら、何…???」 「わ、私ね。…私…。…お腹に…。…赤ちゃん。」 「お腹に…赤ちゃん…。」 目をパチクリと愛実。そして今度は斜め上に。 「お腹に…、赤ちゃん…???…って、ユズ、あんたっ!!!」 「どうしよ…。」 「どうしよ…って…。…つまりは、妊…娠…。…うそ。」 「あん。…どうしよ。」 「どうしよ…って…。あんた、まだ…。…結婚…してない…ってのに…???」 柚香、いきなり大きな声で、 「だからっ!!!」 「だから…って…。…ん…もぅ~~~。…こぅなった以上、結婚するっきゃないでしょ。相手は決まってんだから~~。」 「それは、そうなん…だけど~~。」 「何…???…今更、怖じ気づいたって…???…って言うか、まさかあんた。他に別の人が???」 「…んな訳ないじゃん。ひとりだけだもん。」 「だったら。」 愛実の声に柚香、今度は力なく、 「うん~~~。」 「まずは、おばあちゃんと旦那にぃ~~。」 また、力なく柚香、 「うん~~~。」 「何…???…何、変に落ち込んじゃってんのよ。妊娠しちゃったんでしょ。お腹に赤ちゃん。…まっ。まだ結婚してないんだから…。…つまりはその…、できちゃった婚…???」 そこまで言って愛実、 「えっ…???…できちゃった婚…って…、えっ…???…お腹に赤ちゃんって…???…妊娠…って…。…いつの間に…???…あんた、ユズ。私に、その辺の事って、何も…。…今まで何も…。ちょっと、ユズ。あんた。」 その声に柚香、歩きながら…、 「実は…。…ほら、大学卒業して、やたらと私も真樹君も、メグもバタバタしてた時ってあったじゃん。」 「あぁ~~、うん。確かに。私は劇団のオーディション。旦那はエンジニアの試験勉強。あんたも天文学研究の準備で…。…確か、卒業して3ヶ月目位だっけ…???…何とか落ち着いて来たの…???」 「うん。…多分、あの頃。…ってか、あの時しかない。」 「あの時…???」 その時、傍で、 「愛実~~、そろそろ時間~~。」 同期の劇団員。 その声に愛実、 「あ、うん、オッケー。」 そして、スマホに、 「ゴメン、ユズ、また後で。いい。ちゃんと話さなきゃ駄目よ。」 「うん。分かった。」 そして通話はプツリと切れる。 瞬間、柚香、 「はぁ。」 少しは愛実に事の重大さを話し、落ち着いたものの…。 話す相手が、またひとり、またひとり。しかも…、愛実と違って、なんとも、身内と言う。 ある意味、 「…どう話したら…。」 「それにしても…、私より奥手のユズが妊娠、赤ちゃんって、どぅいう事…???」 稽古場で愛実。 帰宅しての柚香、幸乃は、靴がないから買い物だろう。2階の自分の部屋に。 そして、ベッドに腰を下ろして両膝に両肘を。そして両手に顔を…。 すると…。自然に、3か月前の事が、頭の中に。ポツリと。 「やっちゃってたもんね~~。…自分でもどうしてあんな風になっちゃったか、全く見当がつかない。後々、疲れたように寝ちゃったみたいだけど…。」 そんな風に、その時の事を思い出している内スマホにライン。 「おっと。」 見ると、真樹からライン。 「ゴメン、今日、ちょっと遅れる。仕事の都合で前倒しになっちゃったよ~。後でまたラインする。」 柚香、 「あっ、そうだ。食事する約束だったんだ。」 柚香も、 「オッケー。とにかく、ライン待ってる。送信。」 すると今度は下から、 「柚香~~~、帰ってるのか~~~ぃ???」 幸乃の声。 「わっ、おばあちゃん。」 そして、そのまま、 「あ~~、う~~ん。」 すると…、当然の事ではあるが、階段を上ってくる音が…。そして、ドアが開き、 「こんなに早く…。…何かあったかぃ…???…研究室で…???…それとも、どこか具合でも…???…ベッドに座って…。」 瞬間、柚香、いきなりベッドから立ち上がり、 「あ~~、ううん、別に。」 慌てたように両手をひらひらと。そして、今度は椅子に。 幸乃、立ったままで、 「そうかぃ。別に、何もなかったら、いいんだけど…。おまえにしては珍しいから。こんなに早く…。…研究室に通い始めてからは、大学とは違って、朝から夜まで。」 柚香、目を丸く、 「はい、はい、はい。…それが仕事なもので…。」 「真樹さんとは…???…大丈夫なんでしょ。愛佳さんからも、いろいろとお気遣い頂いて~~。ありがたい限り。」 柚香、そんな祖母にニコニコと、 「うん、うん。大丈夫、大丈夫。心配しない、心配しない。」 幸乃、 「…ならいいけど…。」 そこで、一旦、話しは止まるが…、幸乃、再び柚香に、 「…で…???…どうしたんだぃ今日は~~~???…何れにしても、どう考えても、おまえが家いる時間じゃないもの~~~。午後の3時45分。…もうすぐ4時。休みの日ならまだしも…。」 一瞬、柚香、頭の中で、 「…無理かぁ~~~。」 LIBRA~リブラ~ vol,221. 「どこも…悪く…ないんだ…けど…。」 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023.08.09 05:40:50
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