ドラマ 西遊記 第十一回 2006年3月20日放送 あらすじ&レビュー
第十一話 天竺天竺に近くなるにつれ三蔵は、自分の旅は弟子達の心に報いる事ができるのかと案じるのだった。ある日一行は草木の茂らない不毛の地で倒れている人々を見つける。残りは餓えながら水を求めて争い合っている。一行は囲まれてしまい、三蔵は気絶してしまう。三蔵が目覚めると、そこには天竺大雷音寺の使者が立っていた。使者達は三蔵を大雷音寺へ誘うが、三匹の妖怪は入る事を許されないと言う。三蔵は弟子たちを置いては行けない、選ばれた者とは天竺を求める者達、彼らに天竺に行く資格が無いとしたら私にもありませんと言う。三蔵は、菩薩様は行いを見ていて下さると、悟空達と一緒にに入ることにする。だが大雷音寺の門前で、悟空達は三蔵を一人だけ行かせる。「和尚さんの気持ちがこれまで頑張ってきた俺たちへの何よりの褒美です。」と悟淨。「僕にはあったかい思い出があります。この思い出さえあれば頑張れそうな気がします。」と八戒。最後に悟空は、「別れるのはさみしい。」と言うが、自分の命よりも大切なナマカを見つけられたことが同じだけ嬉しい、世のため人の為に天竺に行ってくれと三蔵に言う。三蔵は三匹に礼を言い、杖に結び付けていた鈴を渡す。「お前達の志は、この三蔵法師玄奘が胸にしかと受け止めました。」そして大雷音寺に入って行く。三匹も別れ、それぞれのところへ帰って行った。長い廊下を通り、三蔵は高僧達の間に通される。大雷音寺の管長は高座から三蔵に、「長安からここまで歩いて参ったとか、それはまあ物好きなことでござるなあ。」一同の僧侶達は笑う。そこには老子も居た。「そんな暇があれば仏の道を学べば良いものを。」三蔵は、旅の中で人々の心に触れる事でそれを学んだと言うが、管長は「あのような貧しき民に仏の教えは理解できまい。」と下界の衆生を蔑む。そして、三蔵に経を授けるからと次のように言い渡すのだった。「三蔵法師、そなたの受け取る経は三蔵、そなた自身の事。そなたはこれより九十九日の修行に入り、その後死をもってお経に転生する。その体は滅びるが、お経となって世の為人の為に尽くす事となる。お喜びなされ。」連れて行かれる三蔵を老子が追いかける。「まあ、そういうことなのだ。何か願いはあるか?」三蔵は悟空・悟淨・八戒に、自分の死を話さないで、元気に修行を続けていると言って欲しいと言い、檻に入る。三蔵と別れた悟空は人々に畑を耕す事を教えていた。畑は実り、もうすぐ芋が食べられる頃になった。そこへ凛凛が現れ、三蔵の死の儀式のことを伝える。悟空は八戒を連れて悟淨の元へ行き、「妖怪のすることと一緒じゃねえか。そんな馬鹿な話があるか?」と言うが、悟淨はそれが三蔵法師の願いなのだと言い、厳しい旅を無駄にする事がどういうことか良く考えてくれ。目を閉じて三つ数えよう、その間に行かぬものは立ち去るがよいと言う。金魚が三回数える間に、出て行くものはいなかった。三匹は大雷音寺に向かう。痩せ細りながら経を唱え続ける三蔵を探し出した悟空は檻を開けようとするが、三蔵は、これは修行している私の心そのものだと言い、出てこようとしない。「そんなお経クソ食らえだ。」と悟空は言うが、「私が残したものはあなたの中にあります。あなたは心を持っている。」と三蔵は答える。悟空は、「俺はあんたが生まれるよりずっと前からあんたが会いに来るのをずっとずっと待っていた。それがこんなに簡単に居なくなってしまうのかよ。お経に名前を残し英雄になればいい。だけど忘れるな。五百年経っても千年経っても、あんたの名前を思い出す度に涙を流すやつがいるって事を。」和尚さん生きてよ、人の使命は生きる事だよと三蔵の手を取る悟空。「暖かい手ですね。暖かいナカマの手なんですね。」涙を流す三蔵。その涙に檻の格子は外れ、悟空は三蔵を連れ出す。「歩けるか?」「はい。」出て行こうとする三蔵にの前に立ちふさがる僧侶達。三匹は捕えられ、三蔵は広間で尋問を受ける。三蔵達をあざ笑う僧侶達に三蔵は、「あなた達は馬鹿者だ。」と叫び、自分を笑う事は構わないが弟子達を笑う事は許さないと言う。お経は人々の心の中に書かれている、人を救う事を忘れたお経などクソ食らえだと言う三蔵。死の儀式は取りやめになり三蔵は大雷音寺を追い出される。老子はこっそり三匹の鎖を解いてやる。「ここに居る意味はもうありません。」と三蔵。悟空は三蔵達を行かせ、一匹残って兵達を引きつける。手出しをせずにただやられている悟空。「おめえらじゃ頭かたい和尚さんの弟子はつとまらねえ。」泣き虫で石頭な三蔵を思い出しながら悟空はぼろぼろになり、ついに首を斬られそうになる。「ごめん和尚さん、約束守れそうもねえ」と呟く悟空。そこに現れた三蔵達。三蔵と三匹が揃う。「僕達の和尚さんは、この足で歩き続け頑張ったんだ。」「俺達の和尚さんはくじけなかった。強い心で頑張ったんだ。」「頑張った奴が報われる世の中じゃなきゃいけねえんだ。この世で一番偉いのは頑張った奴だ。」一団の兵が三蔵達に飛びかかろうとしたその時、三蔵達を光が包み、一行は肩を組んで帰って行く。山のふもとにたどり着いた時、一行はある老人と出会う。その老人こそお釈迦様だった。「良く来たね玄奘さん。」お釈迦様は一行に経典の山を与え、悟空のきんこじを解く。こうして三蔵法師一行は無事長安へと帰った。また一人になった悟空、三蔵を思っていたところに三蔵が現れる。「ぼやぼやしないで行きますよ。」と三蔵。三蔵が差し出すお経は真っ白になっている。「お釈迦様が何者かにさらわれてお経の力が消えてしまったのです。」そうして三蔵たちはまた旅路につく。