ひらめきハート満天丘　　花村実葉　　　　　　　　　

　昨日は、静岡のサールナートホールで上演された

「赤富士番台」藤波睦子作　劇団「きさく座」の静岡公演を

友人ご夫婦と観劇しました。この戯曲を書いたのが、静岡に在住していた頃

教えを戴いたシナリオ教室の坂井昌三先生の

生徒仲間の藤波睦子さんでした。

　自分の書いたものがこのような形になって上演される喜びが

彼女からひしひしと伝わりました。セリフの中にあった、

”生きた証を伝える”・・・彼女の想いが伝わってきました。

　人間が死ぬあの世とこの世の境にある三途の川が

お風呂屋「深山湯」という設定がユニークでした。

　私はとても面白く鑑賞することが出来ました。

　その後、坂井先生と鰐淵晴子さんが主演している

杉田諭監督作品「貝ノ耳」のショートフィルムの上映。

　この映画は何度か拝見しているのですが

詩的な映像の、バイオリンを共に弾く夫婦の物語です。

　聴力を失った夫の喪失感と、それからの夫婦のすれ違い

悲しみが美しい映像として観るものに微かな音を感じさせます。

　これを初めて観たとき、初老夫婦の悲しみを、若き杉田諭監督

がシナリオを書いて監督したということに驚いたのですが・・。

　今回は、交通事故に遭い大怪我をされているということで

来られなかったのですが、早い回復を祈るばかりです。

　「貝ノ耳」は海外で多くの賞を受賞されたそうです。

　その後、坂井先生と鰐淵晴子さんのトークがありました。

　鰐淵晴子さんは、大変美しく、やっぱり大女優さんだと感じました。

　美のオーラがありました。映画でも、大人の女性の業と深い悲しみを

豊かな表情で表現されていましたが、小学校の頃からバイオリンの

演奏旅行に日本各地をお父さまと巡業されていたのだとか・・

　友人も「本当に綺麗だねぇ」と感激していました。

　その後、パーティーにお誘いを戴いたのですが、

約束をしていたので友人夫婦と居酒屋に・・。

　久々に本当に楽しく、ナオコさんとマモルさんの夫婦ギャグ、

マモルさんのオヤジギャグ連発に笑い、楽しく話しが弾み、

ナオコさんと小学校からの付き合いの長さに幸せを感じました。

　芝居の話、映画の話、「あれ観た？　どうだった？」で盛り上がる

関係というのでしょうか？　この夫のマモルさんは、静岡で長年

アマチュア劇団を主催していたので、批評眼があって、

わたしのことなども、「＊＊ちゃん（わたしのこと）と＊＊さん（亡き夫のこと）

は自分をさらけ出していなかったんじゃないの？」と言われ・・

　「私は出していたけど、向こうが出していなかった」とか・・

私は言い訳をしたけれど、それはとても難しい問題で、果たして、

さらけ出すのが良いのか、隠すのが良いのか、

男女は何処で、すれ違って行くのか難しいものです。

　何しろ自分の事さえも、

正確に鏡を見るようにはいかないのだから。

　けれども、芝居や映画などを観た時に、

そこから受け取るもので、人間の関係の在り方を考え、

様々な角度からキャッチボールしあう・・自分を考える・・

これは、人間ならではの楽しみであるなぁと感じた

梅雨（？）の始まりの晴れ上がった晩のことでした。