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*モナミ* SMAP・映画・本

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2007.01.06
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テーマ:本日の1冊(3684)
カテゴリ:


『火車』 著:宮部みゆき


休職中の刑事、本間はある日、
遠い親戚筋の男性から、
婚約者を捜して欲しいと頼まれる。

彼女は自らの意志で、一切の痕跡も残さず、
姿を消したのだ。

調査を進めていくにつれ、彼女は、
別の人間の名を語っていたことが明らかに。

なぜ彼女は、他人の人生を乗っ取ったのか。
乗っ取られた人間は、どうなったのか。



「火車」って、「火の車」ってことかと思ったら、
「生前に悪事をした亡者を乗せて地獄に運ぶという」
火の車、のことらしい。

でも内容は、まさに「火の車」。
カード地獄と、ローン地獄。

借金スパイラルにはまり込み、
抜け出せなくなった女たちの物語。


作中で、弁護士が語る。
自己破産をする人間は、意思が弱いわけでも、
自制心がないわけでもない。
誰でもが、陥る可能性があるのだ、と。

自己破産した主人公の一人は、こう言った。
「どうしてこんなに借金をつくることになったのか
あたしにもよくわかんないのよね。
あたし、ただ、幸せになりたかっただけなんだけど」


カードやキャッシングで欲しいものを買い、
つかの間の幸せに浸る。

借りた金などすぐに返せる、いや、
それが「借金」という意識すらないまま、
少しずつ少しずつ積み重なり、気づいた時には、
どうにもならないところまで来てしまっている。


過去から逃げるために、他人に成りすます女。
それは孤独で、寂しい作業。
だが、誰でも陥るかもしれない道。


当の本人たちは、全く出てこない。
彼女たちの足取りを辿るだけという、
宮部みゆきの巧みな筆に引き込まれながらも、
明日は我が身かも…と思うと、
背筋が冷えるような気がした、一冊でした。



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【参考】
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最終更新日  2007.01.06 21:50:26


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