*モナミ* SMAP・映画・本
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『らくだの涙』 モンゴル南部に暮らすその遊牧民一家は、 四世代が一緒に生活する大家族。 厳しい冬が過ぎようやく暖かな春となり、ラクダの群れは、 出産の時期を迎え、家族も一段と忙しくなる。 そんな中、初産の一頭の若い母ラクダが大変な難産の末、 白い子ラクダを産み落とす。 しかしこの母ラクダは、生まれたばかりの子が乳を欲しがっても、 決してあげようとはしない。 難産のショックから育児拒否をしてしまったのだ。 このままでは子ラクダの命はもたない。 心配した一家は、伝説の音楽療法を行なうため、 遠い町から馬頭琴の演奏家を連れてくるのだった。 気候も厳しく、物質的にも豊かではないモンゴルのゴビ砂漠で、 そこに暮らす人もラクダも、ゆっくりと時間が流れている。 精霊に祈り、風に耐え、多くを求めず、そこにあるものだけで、 満足して生活している。 次々と生まれるラクダの世話をし、難産のラクダの出産を、 家族全員で見守り、助ける。 彼らとラクダの関係は、当然ペットでもなく、単なる家畜でもなく。 動物園などでは、母親が育児拒否をしたら、その子は、 人工保育されるのだろうけれど、ここゴビ砂漠では、 あくまでも母親に育てさせようとする。 それが自然な形であり、当然のことだと。 ラクダって一体、何を考えているのだろう? 他の動物にくらべ、あまりなじみのないラクダ。 そのイメージは、穏やかで従順で忍耐強く。 しかし育児放棄した母ラクダは、頑なに子供を拒否する。 まるで怒っているかのように唸り、我が子につばを引っ掛ける。 幼い兄弟がラクダに乗り、県庁を目指すのだけれど、 「気をつけてね」って、そもそも県庁の場所が分かるのだろうか? この砂漠の中で。 どうにか県庁のある町についた兄弟。 そこは少しずつ近代化していくモンゴル。 人々は民族衣装ではなく普通の服を着て、 ラクダではなくバイクに乗る。 テレビやコンピュータ・ゲームやアイスクリームに憧れる兄弟。 どうしても育児をしない母ラクダのため、音楽療法を試そうと、 馬頭琴奏者がやってくる。 そして三世代目の若い母親が、幼い娘に歌う子守唄のように、 母ラクダに歌いかける。 そこに重なる、馬頭琴の音。 他のラクダたちも、静かに耳を澄ましているかのよう。 その母の歌声と、モンゴルの風に響く馬頭琴の音に、 涙を流す母ラクダ。 そしてやっと母ラクダは、我が子に乳を与える。 ポロポロと涙を流しながら。 とても不思議な光景。 母ラクダが何を思って涙を流したのか。 生物学には、人間が悲しくて流す涙とは、違うものかもしれない。 けれど、母ラクダは子ラクダが寄り添うことをやっと許す。 それに感傷的になりすぎず、やれやれ一仕事終わったと、 家に引き上げる家族。 ラクダの乳酒を飲み、馬頭琴に合わせて歌う家族。 その歌はきっと、子供たちに引き継がれるのだろう。 みんなが去った後も、今までの怒りが嘘のように、 子供に優しく寄り添う母ラクダ。 ただそれだけの、ドキュメンタリー映画。 家族の絆だと愛とか、そう言ってしまえば陳腐すぎるけれども、 変わりゆくものと変わらないものがある。 たとえテレビがやって来たとしても。 物質的な豊かさに押し流されてしまった素朴な生活と、 純粋な気持ちを思い出させてくれる映画でした。
『パッセンジャー』 Passengers 2017.04.01
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