2008年F1最終戦ブラジルGP。
予選結果を見て、決勝結果を予想できた人はいなかっただろう。
インテルラゴスに棲む神様(または魔物)はスーパールーキーに大きな試練を課した。F1の厳しさを指し示すように。
レッドシグナルが消え、一斉にマシンがスタートをきると、PPのマッサはコース中央に寄り、ちょうど予選2位のハミルトンのラインをふさぐ。
その隙にライコネンがハミルトンの前に出て、マッサをかわそうとアタックをかけた。マッサ、ライコネンがサイドバイサイドで先を争う緊迫した状況の背後では、ハミルトンのわずかな隙をついて、アロンソがハミルトンのインにマシンをねじ込んでいた。
ハミルトンは、ここでわずかに若さが出てしまったか。アロンソを抜き返そうと無理をしすぎたのか、痛恨のコースアウトを喫し、8位までポジションを落としてしまう。
これでレースはおもしろくなる。誰もがそう思ったことだろう。
しかし、それだけではインテルラグスの神は不十分と思ったのだろうか。ハミルトンにさらなる試練を課す。
7周目、ハミルトンのマシンをトラブルが襲う。スローダウンした状況に、リタイアかと思われたが、ポジションを18位まで落とした後に再びレーシング走行を再開する。
2007年のブラジルGPは、引退レースとなったミハエル・シューマッハが最後尾から素晴らしい追い上げを見せ、元チャンピオンの場らしい資質を見せている。
インテルラゴスの神は、新たなF1リーダーに、試練を跳ね返しチャンピオンの資質を証明してみろといいたかったのだろうか。
わずかな数字上の可能性のみを残していたライコネンは、そのわずかな可能性をつかみ取った。
首位を走る僚友マッサに離されることなく、ミス無くついて行き、2回目のピットインのタイミングでは、マッサがピットに入ったあとにファステストを連発して見事に逆転を果たした。こうなればマッサに再逆転は許されることはない。
首位を走るライコネンには、もはやそのポジションを守ることしかできない。アロンソ、ハミルトンのポジションによってはチャンピオンは手に入らない。そんな状況の中でもミス無く見事な勝利を飾り、わずか1ポイント差で念願のチャンピオンに輝いた。
誰が勝つかではなくとも、三者三様のポジションにより、チャンピオンシップは誰の物になるのか分からない緊迫した展開。夜中に起きて観戦するだけの価値があった一戦であったことだけは間違いない。
おめでとうライコネン!!
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