伝統のモナコGPは天候に翻弄される荒れたレースになった。
スタート時の小雨から、徐々にラインが乾きはじめたかと思えば、一転してヘビーレインとなり、やがてはドライへと変わる難しい天候。
フロントロー独占からのスタートとなったフェラーリは、スタートでライコネンが順位を下げる名かPPのマッサが独走していたが、雨に足下をすくわれてオーバーラン。
ライコネンも終盤にブレーキングで挙動を乱してスーティルを撃墜してしまった。
レースはいつの間にか首位に躍り出ていたハミルトンが優勝を飾ってランキングでも首位に立つという結果になった。
アロンソは積極的なレースを展開、最初にドライタイヤに交換する決断をしたのもアロンソだった。マシンの劣勢を、ギャンブル的な判断で補い上位を狙う決断は良かったが、強引なオーバーテイクは無理があってうまく生かすことはできなかった。
ルノーはチームメイトのピケもアロンソに続いてドライタイヤへの交換を行ったが、ピケにはやや荷が重い判断だったのか、わずか2周後にウォールの餌食となってしまった。成績不振のピケにはプレッシャーが徐々にかけられつつあるが、今回の結果も重くのしかかりそう。
反面、スーティル、ベッテルという下位チームの若手は、雨の混乱の中で上位を走り自らをアピールした。特にスーティルは4番手を走る殊勲。昨年の豪雨の日本GPではセーフティカーラン中に追突する失態を犯してしまったが、今回はライコネンに追突されてレースを失った。しかし、雨の中で上位に進出する力は注目に値する。もともと評価の高いベッテルは今回も5位入賞を飾った。来期はレッドブルへの昇格が確実視されているし、フェラーリなども興味を示しているといわれる逸材。ますますその評価は高まったと言っていいだろう。
予選6位を獲得して好調だったロズベルグは、ほろ苦いレースとなってしまった。序盤はローズヘアピンで軽い接触からノーズ交換。計3度もノーズを交換した末に派手なクラッシュで戦列を去った。
中嶋一貴は、今回もしぶとく生き残って3度目の入賞。難しいコンディションの中をマシンをコントロールし続けた。ピットインで大きくタイムを失ったのは残念だったが、これは中嶋の評価には関わらない。ルーキーとして十分な合格点。バリチェロにオーバーテイクされたのは残念がったが、あとに続こうとしたピケをなんとか抑えたのはレーサーとしてルーキー同士としての意地か。わずかな接触は有ったものの、あそこで譲っていてはなめられてしまう。
トラクションコントロールが無くなり最初のモナコGPは、よりによって雨になってしまったが、ぎりぎりの状態でマシンをコントロールし、あまつさえ前に進もうとするドライバーたちの気迫は見応えがあった。空回りしてしまったドライバーも多かったけれどこれがレース。
そんな中でいつの間にか首位に躍り出たハミルトンはやはり並みのドライバーでは無いと云うことなんだろう。特に序盤は接触の為にタイヤ交換を行い後方にさがっていたことを考えると驚くしかない。
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