MINDダイエットは、エイジングの速度を遅らせることや認知症リスクを低下させる
認知症リスク低減に役立つ「MINDダイエット」って何? アメリカの新研究で"驚きの効果"が判明4/28(日) 米神経学会の学術誌『Annals of Neurology』に、MINDダイエットが生物学的エイジング(つまり細胞の老化)を遅らせることで、認知症リスクが低下するのかどうかを調べた研究が掲載された。研究者は、マサチューセッツ州における心臓病の要因を特定することを目的にした長期にわたるフラミンガム心臓研究のデータから、60歳以上の認知症ではない成人1644人のデータを取り出した。そして、彼らの1991年~2008年までの食生活や血液検査、神経認知検査の結果を4~7年ごとに調べた結果を基に、生物学的エイジングの速度を判断した。その結果、MINDダイエットが、エイジングの速度を遅らせることや認知症リスクを低下させることに関係があることを発見。また、エイジングの速度を遅らせることは、食生活と認知症、食生活と死亡率の関係に著しい影響を与えることもわかった。MINDとは「Mediterranean DASH Intervention for Neurodegenerative Delay Diet」(地中海ダイエットにDASHダイエットを介在させて神経変性を遅らせるダイエット)の略。MINDダイエットは、食材を15のカテゴリーに分け、植物性食材の摂取を推奨し、動物および高飽和脂肪食品の摂取を制限する食事法だ。【推奨している10の食品】緑の葉物野菜(週6サービング以上)その他の野菜(1日1サービング以上)ベリー(週2サービング以上)ナッツ(週5サービング以上)オリーブオイル(調理用やサラダ用として利用)全粒穀物(1日3サービング以上)魚(週1食以上)豆(週4食以上)鶏肉(週2食以上)ワイン(1日125mL)【避けたほうがよいとされる5つの食品】赤身肉(週4食未満)バターやマーガリン(1日1テーブルスプーン未満)チーズ(週1サービング未満)パン菓子やお菓子(週5サービング未満)揚げ物やファストフード(週1回未満)食品および栄養の専門家による米最大の組織Academy of Nutrition and Dietetics のメディアスポークスパーソンで、『Prevention』の医療審査会のメンバーでもあるメリッサ・プレストは「(MINDダイエットは)健康にいいと評価の地中海ダイエットとDASHダイエットを組み合わせて脳の健康を増進させます。そのほか、認知機能の衰えを遅らせることが証明されている食品を積極的に取り入れる食事法です」と説明する。また「MINDダイエットで推奨される10の食品には、"脳の健康に大事"と今までに報じられてきた食品が多く含まれている。上記であげたような抗酸化物質が豊富な食品は炎症を鎮め、記憶や知識が損なわれるのを防ぐ効果があることがわかっている」と、プレストは説明する。抗酸化物質が豊富な食品も抗炎症効果のある食品も、エイジングやアルツハイマー病に典型的な脳の変性を低減したり予防したりするのに効果があるという。また、シェフ兼栄養士で、『The Plant-Based Diabetes Cookbook』の著者でもあるジャッキー・ニュージェントは「ほとんどの人にメリットがあり、非常に栄養豊富な食生活でしょう」とMINDダイエットを高く評価。「ベジタリアンではないものの、MINDダイエットのように野菜たっぷりの食生活は、2型糖尿病や脳卒中のリスクを潜在的に低減するなど、全体的にみて自身の健康を守るのに大いに役立ちます」と続けた。マインド・ダイエットと老化の遅さ、認知症リスクの低減を関連付ける新たな研究結果コロンビア大学メイルマン公衆衛生大学院とロバート・バトラー・コロンビア・エイジング・センターの新しい研究によると、より健康的な食事は、認知症リスクの低下や老化のスピードの低下と関連している。この研究結果は、食事と認知症の関連は、少なくとも部分的には老化のマルチシステムプロセスによって促進されることを示している。文献的には、健康的な食生活を送っている人は生物学的老化のプロセスが遅くなり、認知症になりにくいことが示唆されていたが、その生物学的メカニズムはこれまでよく分かっていなかった。今回の研究結果は、Annals of Neurology誌に掲載された。「認知症研究における栄養の注目は、特定の栄養素が脳に及ぼす影響に集中しています」と、コロンビア公衆衛生大学院およびコロンビア加齢センターの疫学准教授で、この研究の上級著者であるダニエル・ベルスキー博士(Daniel Belsky, PhD)は言う。「我々は、健康的な食事は、身体の全体的な生物学的老化のペースを遅らせることによって認知症から身を守るという仮説を検証した。」コロンビア大学アービング・メディカル・センターの神経科学准教授で、本研究のもう一人の上席著者であるイアン・グ博士は、「健康的な食事が認知症を予防するという強い証拠がいくつかあります。過去の研究では、食事と認知症リスクの両方が、生物学的老化のペースの加速と関連していた。「マルチシステムの生物学的老化が、食事と認知症の関連性の根底にあるメカニズムであるという仮説を検証することは、論理的な次のステップでした」とベルスキー氏は説明した。研究の結果、神経変性遅延のための地中海食(MIND)の遵守率が高いほど、DunedinPACEで測定される老化のペースが遅くなり、認知症と死亡のリスクが低下することが明らかになった。さらに、DunedinPACEの遅れは食事-認知症関連の27%、食事-死亡率関連の57%を占めた。筆頭著者であるコロンビア大学神経科およびアルツハイマー病・加齢脳研究所(Taub Institute for Research on Alzheimer's Disease and the Aging Brain)のポスドク、アライン・トーマス博士(Aline Thomas, Ph.D.)は、次のように述べた。「しかし、食事と認知症の関連性の一部はまだ説明されていません。したがって、十分に計画された媒介研究において、脳特異的機序を引き続き調査することが正当化されると考えています。」「また、我々の観察結果が、より多様な集団においても確認されれば、生物学的老化のモニタリングが、認知症予防に役立つかもしれません」とベルスキー氏は指摘している。