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カテゴリ:虫
気が付くとまだ複眼の話が続いていますが、ここまで来たらもう少し続けたいと思います。
---------- (ちょっとコーヒーブレイク) 昆虫の中でも最大の個眼数を誇るトンボの複眼には、ちょっとした工夫が見られます。 さて、それはなんでしょうか。 図1を見て考えてみてください。 図1 : コマネチ! 図に引いてある赤線の上下を境にして、複眼の色が変わっているのがわかるでしょうか。 上部は茶色の遮光色素が入っており、直接入ってくる過度の太陽光を緩和しているのです。 つまり視界を優先した結果、光が入り過ぎてしまった為にトンボはサングラスをしています。 またこの種類のトンボは上部で複眼が接していることから、 上部の物体を両方の複眼で捕らえることができます。 そのため、上部方向の距離感は抜群です。 網ですくうには下からが良さそうです。 ---------- 【本題】 『眼』の仕組みと違いを知っておくと話が面白くなる(と思う)ので、少しだけ解説したいと思います。 1991年に発表されたマイケル・ランドの説を採用すると、 脊椎動物のレンズ眼はピンホール眼から進化しました。 ピンホール眼というのはピンホールカメラのように小さな穴があり、 その後ろが空洞状になっている眼のことです。 このピンホール眼の集光効率を上げるためにレンズを備えたというのがランドの説です。 眼のパターンを4つ並べてみます。 (3)と(4)が複眼です。 オウムガイというのは、カタツムリのイカ・タコバージョンのような生物のことです。 生きた化石と言われ、泳ぐ姿はなかなかに面白いものですが、 話が脱線するので今回は割愛します。 ---------- (2)のピンホール眼は光線が焦点を結びません。 明快な像を得るには、ぼやけてしまう原因の光線をカットする為に穴を小さくする必要があります。 しかし穴を小さくした分、像は暗くなります。 ピンホール眼は、近視の人が目を細めたときに物がよく見えるのと同じ原理です。 (1)のようにレンズがあれば、光が様々な方向から入ってきても焦点を結ぶため、 ピンホールのように穴を小さくする必要がなく、明るい像が得られます。 図2 (3)の連立像複眼とは、各レンズに入った光がそれぞれ担当している光感受部位に入ります。 これはそれぞれの光感受部位に入る光は、レンズの垂直方向の微小領域のみであることを意味しています。 つまりこのタイプの複眼は、全体が明るくないと見えないのです。 それに比べて、(4)の重複像複眼は、レンズの領域に関係なく光を拾うことができるので、 薄暗くなっても、連立像複眼と比べて多くの光を感じることができます。 暗闇の中で光を灯した時、チョウよりガの方が多く集まる理由はこのためです。 同じ『眼』という表現をしますが、 人間と昆虫では眼の仕組みは全く異なるのです。 それは他の生物でも同様であり、この4パターンはあくまで代表です。 ---------- ・・・また、書きすぎたでしょうか。 今回はここで止めておきます。 わからないところがありましたらご指摘ください。 小さなことでも遠慮せず、どしどし質問してくださるとありがたいです。 (続く?) ---------- お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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