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成定 竜一~高速バス新時代~

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2011.11.14
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カテゴリ:メディア掲載情報
さっそく、本日付の『東京交通新聞』に、「高速バス・マネジメント・フォーラム2011」について、『路線事業者が戦略学ぶ 新高速バスセミナーに80人』と写真入りで報じていただいた。1面にも『「新高速バス」原案を提示 あり方検討会再開し議論 国交省』として、「新高速バス」制度の内容も紹介している。上記リンク先から、1面は「立ち読み」可能。3面のフォーラムの記事はクレジット決済で500円支払えば購読することができる。

フォーラムの記事では、私のコメントや講演内容とともに、国交省の谷口バス産業活性化対策室長の講演内容として、<需要動向に応じた的確な供給量管理と価格管理が必要だ。そのためにはマーケティングの情報収集と分析、航空会社やホテルのノウハウが高速バスにも適用される時代だ>、<自社の強みを生かし、現在の共同運行の枠を超えたアウトソーシングやパートナー選びに工夫を凝らしてほしい>と紹介されている。

もしかしたら、谷口室長のご講演、ならびにその後に続いた私も含め述べ14人に上る講師の話の内容に、ただただ驚いた参加者の方もいらっしゃったかもしれない。実は、フォーラム終了後、参加者の皆様にご記入いただいたアンケートの中に、<ツアーバスの言い分を聞いてやろうという気持ちで参加したが>という書き出しで始まるコメントがあった。

私個人と面識がある高速路線バス事業者の皆様は、私が決して「高速ツアーバス側」(まあ、そういう概念があれば、だが)の人間ではないことはご存じだろう。しかし全国全ての高速路線バス事業者に挨拶に伺えているわけではない。今回のフォーラムは、全国の路線バス事業者とお付き合いの深い関係業界数社の皆様に告知のお手伝いをいただいたほか、『バスラマ・インターナショナル』『日本バス協会の会員向けメールマガジン』『バス経営情報』などでもご紹介いただいたから、おそらく上記コメントの主は、これまで私と面識がなく、そのような紹介や媒体で本フォーラムのことをお知りになった方に違いない。

もちろんそのコメントは、<われわれ路線バス事業者は様々なしがらみの中で事業をしていて、逆に言うと取り組めていないことが多々あることがわかりました>と続く。これまでの高速路線バスの事業のあり方が悪かったわけではない。私はそれを否定しない。しかし、2002年を境に道路運送法の理念が180度変わったこと、またそうなった社会的背景、およびウェブの普及により消費者の購買行動プロセスが大きく変化したことを考慮すれば、高速バス事業のあり方もまた、大きく変化しなければならない。今回のフォーラムでは、多くの先生方のお力をお借りしてそのことをご説明し、上記コメント主(無記名アンケートなのでどの事業者かはわからない)にご理解いただけたことは非常に嬉しい。

なお、『東京交通新聞』の、1面の方(あり方検討会について)の記事では1点、事実と異なる点があるので追記しておく。記事の最後のパラグラフで、<運行系統200キロ以上を対象とする国交省案に対し、この日の検討会で「300キロ」や「200キロ未満」を求める声が相次ぎ、まとまらなかった>とあるが、議論されたのは「新高速バス」制度のうち、「需要波動対応型管理受委託」の対象を何キロ以上の系統とするかであって、「新高速バス」制度自体の対象は系統長50キロ以上で既に決定している。単なるミスだと信じたい。

実はこの件、ある意味で本質的な話だ。9日(水)午前に開かれた検討会で、200キロ以上のみ管理受委託の規制緩和の対象とするという国交省の原案に対し、ある委員の方が「300キロ以上」を主張なさったのだ。それに対し私が、<私は本日、本来的には高速ツアーバス各社の代弁をする立場で出席しているが、この件については高速路線バスの立場で意見を述べたい>と前置きしたうえで、「200キロ未満も対象」とするよう主張した。実は100でも200でも300でも、高速ツアーバス側にはほとんど影響がない。一方、例えば新宿~富士五湖、箱根といった、200または300キロ未満ながら、夏と冬、週末と平日で需要の波動が大きい路線は存在する。高速路線バス各社にとって、その種の路線で「需要波動対応型管理受委託」が活用できないようにしてほしいと主張するのは、自らの両手を縛るようなものだ。

おそらく、かの委員は、管理受委託の縛りを強くすれば、多頻度昼行区間への新規参入を阻止できるとお考えになったのだろう。だが、新規参入の障害は他にあり、管理受委託の縛りは新規参入リスクの大小と関係ない。むしろ、既存各社は事業の自由度が上がらず苦労するだけである。証拠に、翌10日の当社のフォーラムで、国交省の谷口室長が講演中に「150、200、300キロのうち何キロがいいと思うか」と参加者に挙手を求めたとき、ざっと9割以上の参加者が「150キロ」に手を挙げたのだ。全国の路線バス事業者の経営者、担当者が、である。

制度の詳細を理解せず、実際の事業にあてはめた場合のメリットデメリットを精査せず、「規制緩和=自分たちの権益が侵される」という感覚的な思い込みで制度を自らに不利に誘導するというのは理解できない。まさに「新高速お化け」だ。今回、谷口氏の方から事業者の生の声を求めてくれたからよかったが、そうでなかったら路線バス事業者にはメリットがない制度になっていたことだろう。それで5年、10年後に、「既存組」路線バス事業者から、<新制度のおかげで高速バスが衰退した>と泣き言を言うのは絶対に許せない。もしそんな声が事業者から出たら、その責任が誰にあるかを、私は説明することになろう。

いずれにせよ、制度の詳細が検討会で発表された翌日にフォーラムを開催できたことは意義があった。今週の、日本バス協会の全国バス事業者大会でも同じ内容が披露されることだろう。この制度は、ウィラーらの新規参入者にも大きな未来をもたらすが、既存事業者にとっても同じ大きさの未来を提供するものだ。「ツアーバス憎し」ではなく、高速バス事業全体の成長を導くべく、「チャンス」と捉える事業者が多いことを期待している。





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Last updated  2011.11.14 17:26:08
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京帝117@ ご参考まで この度 K電鉄バスの取締役安全技術部長に…
京帝117@ 残念でした 他にメッセージをお送りする方法を知らな…
成定竜一@ Re[1]:中央高速バス~ふたつの路線~(02/24) 京帝117さん、コメントありがとうございま…
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