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カテゴリ:.1次題
その村人には悪い癖があった。
感情が昂ると笑ってしまうのだ。 それが怒りでも恐怖でも尊敬でも同じことだった。 村人はある鍛冶屋が怖かった。 畏怖を感じていた。 だからこそ鍛冶屋を笑い嗤った。 鍛冶屋はやがて居なくなった。 鍛冶屋が作っていたものがなくなり、村は段々さびれ始めた。 村人は笑った。 嗤うことしかできない人間だから笑った。 自分の人生も世界も全てを嗤ってしまえばこの世に怖いことなどなくなると思っていたのだ。 やがて村は廃れ、そこにはいくつもの死体が残った。 肉は風化し、骸骨となった。 しゃれこうべが風に吹かれてからからと鳴いた。 それはまるで笑っているかのようだった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2017.12.07 20:52:58
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