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長押 綴

長押 綴

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2011.03.14
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カテゴリ:.1次小
捨てられた惨めなものが好きだった。
お隣に住む健太少年は、消極的なせいかよく家でも学校でもみそっかすになるようで、だからそんな健太少年を甘やかすのはあたしの趣味と化していた。
あたしも一人っ子だからか、健太少年を弟にできたようでうれしかったのだ。

そんな健太少年に、春が訪れた。

「ああもう…」

この気持ちをどう表現したらいいのか分からない。

あろうことかあたしは、臆病なその健太少年の寒々しい春に、初々しい可愛さにノックアウトされていた。

健太少年は、果敢にアタックする。
料理を作ったり、宿題を見せたり、先生のイヤミからかばったり、皆に優しくしたり。
これがあたし達の年代なら優良物件として狙われている所だ。

だけど健太少年の想い人には他に好きな人が居るようだった。
どう見てもヒーローはあっちで、ヒロインはその子に振り向いてなんてくれないのに健太少年は頑張り続ける。

その様子が健気でたまらなく愛おしい。

あたしにはそんなその子の願いを叶えてあげる力はない。
だけど、しょぼんとした顔の健太少年の頭をわしわしと撫でて元気づけるくらいは、してもいいよね。





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最終更新日  2017.05.02 23:38:09
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