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長押 綴

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2011.11.30
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カテゴリ:◎2次裏漫
とある教会では、働きに出る大人の為子供を預かっている。
そこの最年長、実結は頭を悩ませていた。

いつも面倒を見ている年下の子たちが近年ますます険悪になっていくのだ。

 特に空見と芽吹の仲は壊滅的だった。
 実結からすれば芽吹は空見のことが気になっているのに素直になれないように見える。
 けれど、空見からしてみればいじめられているとか、やけに言いがかりをつけられているくらいにしか思えないのだ。そして空見は元気だけれどどうにもできないことに対しては我慢をする。そのことについてどうにかしようともしない。ただ芽吹を避けるだけ。芽吹は、そこで更にちょっかいを出したがる。
 また、芽吹は藍子や桜と友達が沢山いるけれど、空見の友達は殆ど輝海と昇だけ。
 その輝海と昇は「空見には僕たちが居ればいい」と開き直っている。
 そういうわけにもいかない。
 うざったがられるかもしれないと思いながら、今日もまた実結は両者に声をかける。



「空見の親父は、人を殺したんだ」

「僕のお母さんのことも傷付けたんだ」

「だから僕は空見を傷付ける権利がある」

 どこからの知恵なのか分からない。だけど、泣きそうな顔でぼろぼろで震えている空見の前でぼくはそう言い放った。間には、普段おとなしいくせにぼくを殴り飛ばした昇と、ぼくを射殺しそうな目で見ている輝海…そして、その二人に掴みかからんとする、藍子と桜。

「同じ方法で、傷付けることが」

 そうぼくが言った途端、教会の窓が割られた。

「空見!!」

 空見の親父だった。そいつを、必死に他の人が止めていた。

「お前の目の前には俺が居るだろう。俺を傷付ければいいじゃないか」
「うるさい!!」

 叫んだのはぼくじゃなくて、空見だった。
 空見とそっくりな目元で言う彼に、空見は泣きながら走っていった。

「おとうさんのせい…おとうさんのせいで……」

 ぼすぼすと、泣きながら殴る空見の手を、やつはじっと受け止めていた。
 後ろから、空見のおねえさんがそっと抱きしめた。

「一緒に、外の世界に行きましょう」
「待てよ!逃げるのか!?」

 ぼくの叫びに、空見の親父が口を少し動かして、また引き結んで、開いた。
 
「じゃあ、お前も来るか」
「は……!?」

 教会の割られた窓からその瞬間強い風が吹いてきて、ぼくはなぜかそれにつられて言ってしまった。

「……ああ!行ってやる!」








*つづく?*





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最終更新日  2017.04.13 21:22:16
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