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「素直で頑張り屋なのがお前の唯一の長所だったのにこんな嘘吐きに育っちゃってお母さん哀しい!」
「誰のせいだよこの甲斐性無し野郎」 最近本当幼馴染うざい。お前本当何?俺を苛立たせる為に居るの?対俺苛立たせ作戦参謀? 「いいわよ!お母さんはあなたの本音を吐き出される為の道具に使われてあげるわよ!」 「恩着せがましく言わなくていいですどっか行って下さい」 「じゃがいも剥くの全く上達しねーなお前…じゃがいもさんかわいそうで泣けて来るわお母さん」 「どっかいけっつってんだろ」 くそ、生活能力ないに等しい事をこんな切羽詰った状況で実感するなんて。 これまで自分がいかに多くの人に支えられていたのか痛感する。 ……もし、ここから脱出出来たら、今度はもう少し皆を手伝ってみるか。 レボを適当にあしらいながら最後のじゃがいもを剥き終え(レボ的にはじゃがいもの蹂躙らしいが)る、と。 コンコン、と軽く優しい音が、土の臭いのする船室に響く。 「……チム!?」 チッ、という左隣の音を無視して、右にある扉に向き直る。 「当たり。お疲れ様、セッティーニ。……ちょっと軽くつまめるもん、ない?」 「ある!あるぞ!!!」 こういう時の為に作り置きはある。 左隣の威圧感を無視して、小さな倉庫から取り出した浅漬けを並べる。 「ありがとう」 「「ありがとう」だってよ、ケッ」 左うるせえ。小声も響くやや狭い船室、俺が睨むとやっとこっち向いたかみたいな顔で見てくる。もう知らん。完璧な無表情を貫き通し、チムに向かい合った途端自然に笑顔になるとそれに対してもはぁ、とか言ってくる。うっぜええええええええええええ。 取り敢えず、取り敢えずチムに食べ物渡さないと。疲れてるみたいだし。 「…チム、大丈夫か?目の下の隈、凄いぞ。ぼ、僕にできることなら、相談に乗る、ぞ!!!」 「……うーん…今、船の向きを決める、回すあれ、舵輪ってあるじゃん?あれが…おかしくなってて………うーん…なんか…貴族だったら……知ってたりとか…しない?趣味で錠前作る人とか居るらしいじゃん…」 やばい、相当やばい。自分の不調をも隠すのがうまいチムがこうなるなんて相当だ。 だが。 「……ごめん…知らない……」 一応前の船で遊び程度に舵輪の仕組み見せて貰ったりはしたものの、詳しい所は良く分からないのだ。 何でおれ無力なんだ。 「…いいよ、ありがとう。今、考えてくれたそれと」 ぽり、ぽりと齧る音。 「セッティーニが作ってくれたこれで充分だよ」 「はんぶ「は、半分はレボが手伝ってくれたんだ」 「…そうか。……二人とも、ありがとな。おいしいものを作ってくれて。セッティーニ、それを渡してくれてありがとう」 にこ。 チムがまた笑う。 ……嫌わないのか、こいつは。 態度を露骨に変えたりしないのか。 正直で居ても、この人は。この人なら、虚勢を張ったり偽物の自分で接さなくても…… 「それ食ったんならとっとと帰れ、長く居座られると邪魔なんだよ」 レボちょっと静かにしてくれ本当に。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2015.12.27 17:35:02
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