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長押 綴

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2012.12.05
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カテゴリ:◎2次裏漫
暴走族のような話



**********



「報酬をよこせ」
「……勝手にしろ」

二人の空気は分からない。


「……あいつは、優しいから、俺が痛いって言ったら止めたんだ。
 どっかの誰かさんと違ってな」
「そうかよ。まあどっかの誰かさんは、目の前に居る誰かさんと同類だからな。
 痛めつける為だけにあんな指示をしたお前に従ったことがその証拠だな」
「……お前その話を掘り返し過ぎじゃないか?」
「当たり前だろ。忘れさせてたまるか」
「言われなくても覚えてる」
「どうだか」

新しくあたしたちの族に入ってきたのは、男性的な女性と女性的な男性だった。
『彼』と『彼女』は、付き合っていない、と言っていたけど、二人の仲はどうにも濃密で、なかなか二人セットの時は割り込めない雰囲気を纏っていた。

特に、『彼女』が付き合ってない、有り得ないと言っていた時の『彼』の顔があまりに、なんというか、雨に濡れた子犬のような雰囲気を纏っていたので、ああそういうことか、とあたしは察してしまった。






『彼女』は、『彼』に暴力教唆をしていた。
『彼女』だけではできない制裁を、前の族に居た時にやる為、『彼』に委託していたのだ。


そうした絆なんてあたしは見た事がなくて、それでも、『彼女』の視野に入る為だけに、そして『彼女』に報酬として触れる為だけにそんなことをし続ける『彼』がひたすら哀れで、あたしは今日も。


「……ねえ、教えてほしいことがあるんだけど」
「……なんだ」


枠外から手を伸ばす。





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最終更新日  2018.02.28 21:47:02
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