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長押 綴

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2013.01.06
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カテゴリ:.1次メモ
 リーダーが2人に分裂して帰ってきた。
 しかも1人はなんかでかい奴に握られてるし、本当に何があったんだ。












「なっ……」


 様子を見る為に、木鈴をこっちに託して地上に出たsecom田中が固まった。

 一体どうしたというのか。好奇心がうずく。

 一旦ワタと木鈴、ついでに佐藤を地下に残し、地上に出ようとするが佐藤が「突っ込み田中君居るの~?」と騒ぎ、木鈴も「私も、ついてく。……修行の成果、見せる」とその覚悟の必要性はさておき、覚悟と度胸を見せたので、取り敢えずよく分かってない様子のワタだけには「ちょっと大人しくしててくれ、危険がせまったらすぐに逃げられるようにだけ気を付けて」と言って、俺も最後に地下室と地上を繋ぐ扉を開いた。
 何が地上にやってきたのかは分からないけれど、そろそろ地上にも何か建てた方がいいだろうか?それともそろそろ本拠地を変えたほうが、襲われるリスクは低くなるか…?

 とかなんとか思っていた頭は、一瞬にして固まった。


 でかいな、おい。






「お、おい」


「えーと、お前ら、高校の時の担任の高橋先生って……覚えてるか?」

 一瞬というか、数秒ほど呆けていた融通の利かないSECOM田中がはっと我に返り声をかけると、身長17mくらいありそうな能面で白拍子の服着ている奴がびくりとし、それとほぼ同時に握られてない方のリーダーが脈絡のない問いをしてくる。

「ああ。あの眼鏡の生真面目で怒ると少し大変だった…」

「……」

 SECOM田中が不審げな顔をしながらも答えると、17m級が存在感を発揮する。

「男の話でよく女子に遊ばれてた…」

「…………」


更に威圧感まで増えた。




「その高橋先生が、彼女だ」

「「!!!」」







……だが、俺はこの答えをどこかで、予想していた気もする。



 脳の断面





5.5


7.1




「えっ……、どうして高橋先生が怪人になってるんだ?」
「俺に聞かれても知らねえよ…」

 取り敢えず軽く挨拶をすませた所で、secom田中が突っ込み田中とリーダー田中×2に聞く。
 突っ込み田中も困り果てた表情で言う、どうやらこいつもわけがわかっていないようだ。

「それじゃあ、事情聴取してもいいですか、先生」
「う、うむ…」

 相変わらず戸惑った、けれど少し落ち着いた様子の先生に向き直る。頷いた先生の長い黒髪がさらりと揺れるが、それだけで風圧がすごい。先生もそれを自覚しているのか、申し訳なさそうに大きな体をちぢこめた。

 この世界の治安を鑑みると、情報は多くて困ることはない。先生が怪人に改造されたとして、そいつは誰なのか、今どうしているのか、そいつと協力できそうか。それらを考えることは、俺達の身の安全を保障することにも繋がる。
 それに、もしかしたら先生が改造した奴に一定の条件で「操作」されることもありうる。
 もしそうなりうるとしたら、先生とは協力するにしても普段は違う所で生活してもらわないといけないかもしれない。

「先生は、どこの研究所、あるいは誰に、何と言われて改造されたんですか?」
「……それが、悪いがよく覚えていないのだ。私は数日前、……で、……と、……れて、……していた直後、突然声をかけられたのだ。『……したくありませんか?』とな。だからそれに感情のままついていってしまってからは、……ながら話を聞いてもらって、その間中麻酔された背中からがちゃがちゃと音がして、『完了です。暫く眠って、目覚めればあなたはその力を手に入れています』と言われて、眠気が訪れて、目が覚めたら」
「すみませんが、よく聞こえないのでもう少し大きくはっきりと」
「おいお前やめ」
「……その、だな!愚痴を聞いてもらっていた!ホストクラブで!!よく話を聞いてもらっていた奴と付き合ったはいいものの!浮気されて!!!金を巻き上げられていたと遅まきながら自覚して!!別れて!!!ホストクラブの近くで落ち込んでいたらヤ●ザが来て!!仕方ないから沈み込みながら帰路を歩いていたら!!!突然路地から……声を、かけられたのだ。『復讐したくありませんか』と、占い師のような、男とも女とも知れん者がそこに居た。そいつに導かれるまま、『復讐するための力を得る儀式をする場所』というところに宗教系だろうか怪しいなでもいいか、いいな、もう全部どうだっていいと思いついていったら……儀式というか、何かを埋め込み、注入されて、な。眠って、目が覚めたら感情が高ぶるほどに巨大化できる体質になっていたのだ……す、すまん。丁度いい人間サイズにはなれないようだ」

 捕まれてる方のリーダー田中が止めたが、知ったこっちゃないと質問続行したのだが、今照れて真っ赤になっている高橋先生(大)と高橋先生にぎゅううううと握りしめられているリーダー田中を見ると少し申し訳なくなる。

「はい、結構です。ありがとうございます。…手の中の田中君を、もう少し楽にしてあげてください。
 すみませんが、続きの質問もお願いできますか?具体的な起きた場所を教えてほしいのですが」
「……す、すまん、田中。 ……え、ええと、起きた場所だったな。……そうだな、悪い、私が起きた場所と、研究所の場所は恐らく離れていると思う」
「げほっ…」
「何故です?」
「た、田中、大丈夫か……」
「大丈夫です、俺達は回復早いですから。取り敢えず、一旦そいつを降ろしてやって下さい」
「分かった…」

 泡を吹いて紫色になったリーダー田中はピクピクし、そして下半身を露出していたので申し訳程度の応急処置とタオルを与え、申し訳なさと心配を湛えた高橋先生に向き直る。

「で、何故離れているのでしょう?」
「う、うむ、……私は、あの時……落ち込みながらも冷静だった。だから、研究所に向かう時も、地下に潜った後どれだけ歩いただろうということは感覚として覚えている。地下通路がまるごと動いているのでもない限り、あの研究所は都心の地下にある筈だ。だが、私が目覚めたのは日本海の中心だった」
「眠っている間に運ばれたかもしれないってことですか……」

どうしたものか、と思っていると、SECOM田中の隣に居た木鈴が恐る恐る、という風に手を挙げる。

「……それって、足を付けないためってことでしょうか?」
「それもあるだろうけど、海の方が地上よりも発見されづらいと言う判断もあるかもしれないな」

 secom田中が、この間穴子を深追いして青い顔で戻ってきた時のことを思い出したのか、紫がかった表情で呟く。

「あと、単純に日本海が実験の場所に向いていたとか……」
「それなら海で、先生みたいな奴がまた生まれてくるかもってことか」
「いいね!絶好の観察対象だよ!!!」

 ここの所突っ込み田中に構い倒しているからか比較的大人しかった佐藤がまたテンションを上げてきた。うるさい。
と思ったけれど突っ込み田中がボロボロのなりの癖して突っ込みに行っていた。漫才か。



「それじゃあ、保存食も温室の植物も危うくなってきたことだし」
「また海辺に行ってみようか」

 リーダー田中二人の言葉に、俺達は動き出した。
 ワタと出会う前に居た、その方角へ。





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最終更新日  2015.06.15 06:44:42
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