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長押 綴

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2013.03.19
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カテゴリ:.1次メモ
「脳の断面」



やばい。

もがいてももがいてもそいつは離れることがなくて

沈む。

肉の塊に浮いた青筋は体育教師を連想させる

やばい。

高橋先生も一歩間違えばこいつらになっていたのか

息ができない。

今頃高橋先生とあいつは逃げている所だろうか

浮上しなければ。

俺ももう少し違えば逃げている方だったのだろうか

嫌だ。

つくづく改造は俺達の個性を殺す代物だ

抜け出さなければ。

異形になるのは変人扱いと同じで特殊になるということでもあるけれど

まだ何もできていないのに

あまりに多過ぎると没個性の困ったちゃんが大量に存在するだけだ

逃げなければ。

唯一絶対の平易こそがもしかしたらその時には

こういう時に呼ぶ名もないのに


生きたい。


死にたくない。


殺さなければ。





沈む。



ぶちりぶちりぶちりぶちりもげた部分を再生する前にもぎ取り水中に逃がす
あれなら浮かぶ途中でひっかからなければヘンゼルとグレーテルのように道しるべを
俺の一部だけでも生きてそれじゃ食べられてしまうか駄目だなでもどうせ俺のこの頭は死ぬ
逃げろ生きろもう嫌だどうして俺だけどこに何もなくてどうせなら皆を守ればいいかとでも失敗
俺が犠牲になったから他の俺はある程度逃げる余裕がどうしてずるい俺はまだ沈んでいくのに






意識が朦朧としてももいで、妙に憎しみとも哀しみともつかないものに支配されてももいで、自分が何をやっているのか分からなくなってももいで、もぐ腕がなくなっても食いちぎって―――



そして俺は、一塊の肉になった。





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最終更新日  2015.06.18 01:39:06
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