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彼が起きた。 その目は一瞬だけ見開かれ、すぐに細められる。 その角度が、柔らかさがやっぱり大好きで。 「イヤァ、すまんね」 と彼がまた笑う。 「すまんねじゃないです」 素直になれず返す。 「・・君はやはり、素直すぎるよ」 呆れたような声でつぶやかれる。 「うるさいです」 「ほら、泣くなって」 優しげな声。 「泣いてなんかないです」 ぼろぼろと手の甲の表面で弾かれたその感覚には、目をぎゅっと閉じて気付かないふりをした。 「すまんねいつも」 そうして、また日常が繰り返される。 「いつもいつもいつもいつも言っていますが、 本当にすまないと思っているなら!!もっと!!!気をつけて下さいよ色々と!!!」 「・・・・・・・・・たばこ買ってくる」 「あっ、ちょっと!!」 僕は、一生にどれだけのこの人の口癖を聞くのだろう。 一緒にどれだけ、仕事をしていけるだろうか。 そう思いながら、僕は彼の丸い背中を追いかけた。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2014.07.14 22:44:28
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