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長押 綴

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2013.05.16
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カテゴリ:.1次メモ




彼が起きた。



その目は一瞬だけ見開かれ、すぐに細められる。

その角度が、柔らかさがやっぱり大好きで。




「イヤァ、すまんね」
と彼がまた笑う。

「すまんねじゃないです」
素直になれず返す。

「・・君はやはり、素直すぎるよ」
呆れたような声でつぶやかれる。

「うるさいです」

「ほら、泣くなって」
優しげな声。

「泣いてなんかないです」

ぼろぼろと手の甲の表面で弾かれたその感覚には、目をぎゅっと閉じて気付かないふりをした。







「すまんねいつも」

そうして、また日常が繰り返される。

「いつもいつもいつもいつも言っていますが、
 本当にすまないと思っているなら!!もっと!!!気をつけて下さいよ色々と!!!」

「・・・・・・・・・たばこ買ってくる」

「あっ、ちょっと!!」

僕は、一生にどれだけのこの人の口癖を聞くのだろう。
一緒にどれだけ、仕事をしていけるだろうか。


そう思いながら、僕は彼の丸い背中を追いかけた。








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最終更新日  2014.07.14 22:44:28
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