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「そういえば」
やっとグロテスクなものを食べ終わって、何とはなしに出た言葉。 「女子達ってあんま話してねーよな」 佐藤がぱちりと瞬く。 「……確かに、言われてみればそうかもね」 こいつも俺も、人同士の関わりにそこまで口を出すタイプではないが。気になってしまった。 木鈴。いつもセコムと一緒に居て、他の人に対してはいまいち他人行儀。一人だけ子供だということもあるのかもしれない。 ワタ。いつも観察と一緒に居て、他の人に対しては話し掛けられれば答える程度。精神年齢としては木鈴と似ている気もするが、接点が特にない。 高橋先生。この人は……逆に、一人だけ年上だからか、人間不信がちだからか、リーダー以外に対しては退き気味な所がある。 そもそも、それぞれ『田中』に絆され一緒に旅をしている感覚が強いわけだから、友達の友達という感覚しか芽生えないのも仕方のない事なのだろうか。特にこんなファンタジーじみた世界じゃ、服を一緒に買いに行くとか菓子を食べに行くとか、そんなこともない。 けど、彼女らに、それぞれの大事な人以外に改めて絆を作る必要があるのだろうか。 無理に押し付ける必要などあるのだろうか。 「…でも、ま、余計なお世話…だよな」 言い始めて難だけど、と口を尖らせ呟くと、佐藤は眉をへの字にする。 「僕は、人と人の関わり自体あんまり興味がないからね。必要最低限でいいでしょって思うし。 ていうか、友情って結局、相互利用なんだから」 「……え…」 「あ、僕が言ってるのはね、お金クレルから一緒に居るとかそういうんじゃなくて、優しくされて嬉しかったりとか庇護欲感じたりとか仲間意識感じたりとか、そういうのも一類に「利用」価値ってことなんじゃないかなってこと」 「…………だって、助けたって何の得もないのに、って言葉、あるだろ」 絆がそんなものだとしたら。 「助けたって何の得もないのに助けることで「罪悪感」を感じずには済むよね」 「そん…っ」 「ああ、ごめん、ごめんね、別に君をそういう気持ちにさせたくて言ったんじゃないんだ。 それに利用する人たちを蔑んでいるわけでもない。 つまりね、きっと、利用っていう言葉が僕にとってはもっと「よい」もので、 君に、君達にとってはもっと「わるい」ものっていうだけ。」 そんな、価値観の違いが全てを支配するようなものならば。 「そう言えば、誰も傷付かないんだから」 本当のものなんてどこにもないんじゃないか。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2015.08.01 17:28:49
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