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長押 綴

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2013.08.11
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カテゴリ:🔗少プリ
 恵に会いたい。だがこの世界では未だに恵は生まれていないのだ、なんということだ、絶望するしかないじゃないか。いや逆に考えろ鍵屋崎直、恵が生まれる前にこの人間的に欠陥を持つ周囲の人間達ー主に両親のことだがーを比較的ましな性格になるよう矯正してやれば恵が絶望することも僕達が仲違いすることもないのではないk「坊ちゃま、オムツを替えましょうね」


……………………屈辱だ。



鍵屋崎は人生をやりしましたーーーcase:2



 僕の名前は鍵屋崎直、現在0歳と2か月。一番大事に想うのは妹の恵だ。今の時点ではまだ生まれていないが、それはつまり僕にとって彼女が生まれるまでに環境を整備しておくことが第一の任務となったということだ。
 しかしこの身動きも何か話すこともできない状態では、過去を振り返って自分の何がいけなかったのかを内省することしかできない。両親に一縷の望みを賭け母性父性を目覚めさせるべく柄にもなく甘えた最大限に親心をくすぐられるであろう仕草をしてみたものの、冷徹な観察者の眼差しを向けられ「ふむ、我々が碌に世話をしているわけでもないのに両親と認識しているようだな」「物覚えは良い方ね。本能というよりも打算で動いているような甘え方も悪くないわ。早く言葉を覚えないものかしら」などと言われ呆然としたものだった。駄目だ、どうしても彼らが親として子供に愛情を注ぐ姿が想像出来ない。

 そうだ、親らしくないといえば、サムライはどうしているだろうか。彼もまた厳しい父親に育てられ、世間一般で言う親子関係など望めなかった。ゆえに、あのようなーーある意味で僕と同じーー事件に至ってしまったのだ。
 今ならば、サムライは3つ、苗は5つか。苗はまだ目が見えているのではないか。いまならまだ、静流にはサムライへのコンプレックスなどろくに育っていないのではないか。
 止められるものならば止めなければならない。
 僕にとって一番大事なのは恵だが、サムライの、あの忍耐に慣れきってしまった男の幸せそうな顔を、また見たいのだ。

 サムライに限らない。あの頃のーおそらく時間が巻き戻る前のー僕にとっては大事な仲間たちの殆どのやむにやまれず行った犯罪を、今の僕なら、もしかしたら未然に止めたり、軽減することができるかもしれないのだ。

 天才に不可能は無い。

 神に造られ得なかったこの僕が、神に喧嘩を売ってやろうじゃないか。





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最終更新日  2016.08.21 01:32:29
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