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カテゴリ:🔗少プリ
「直ちゃん達うまくやれとるかなぁ」
「後で見に行くんですからいいじゃないですか」 心配げなヨンイルにワンフーがフォローするが、ヨンイルの胸底に渦巻く不安は消えない。 前日までみっちり注意してはいたものの、それでもまだまだ危うい所や最後まで直らなかった所もある。正直に言えばクラスの評点がどうなるかということよりも演じられるキャラクターの印象を変に壊すのではという不安が大きいが、それでも彼ら個人への心配もある。そんなに心配ならば見に行けば良かったのではと言う声はない。ヨンイルの人望で持っているこのクラスは彼が居るのと居ないのでは全く士気が違う。慣性の法則の如くある程度勢いがあれば頑張れる面々が多いが、それでも初めはヨンイルの存在が必要だ。 「ま、こっちも頑張らんとな」 隣のクラスはヨンイル達が希望したがとれなかったコスプレ喫茶。 もう片方の隣のクラスは執事喫茶。 ライバルに挟まれたこの状況はクラスの士気を高めるのに十分。 特にコスプレ喫茶の方には羨ましさと言う名の私怨もある。 「ヨンイルさん、クラス投票一位になったら何買います?」 「ん?んー迷うな、まあ取り敢えずグッズ買うか新刊大人買いするか古本屋行くか…」 頬を熱くしいちにいさんと指を折り折り数えるが、はたと気付く。 「……そういや、あいつらんとことガチンコ勝負するんやな」 それぞれの出し物の内容に集中していた為すっかり頭から抜けていた事項が今更やって来る。だがヨンイルの顔は困惑や面倒さに歪むどころかいたく楽しそうに口元をにんまりとゆがめる。勿論ただで負けるつもりはないし敵に塩を送った状況を悔やむ気持ちも全くない。正々堂々の勝負はむしろ少年漫画の展開のようではないか。 「俺達も負けてられませんね」 「最初メイドなんてって思ったけどやるんならやっぱ一位」 「コスプレにはねえ統一感と執事にはねえ絶対領域見せてやる!!」 その意図をくんだかのように子分達が一斉に騒ぎ出す。 ヨンイルは我が意を得たりと至極楽しげに頷き―― 「行くで」 はれやかな笑顔が決戦の幕を切って落とした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2014.11.03 00:32:45
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