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カテゴリ:◎2次裏漫
ー…夢を見た。
こつこつ。 初めは足音かと思った。 だが違う。 鳥が卵を突いている。 こつこつ。 その音は次第に鈍くなり。 こつこつ。 ひび割れの中からにゅうと血まみれの腕が現れて。 こつこ… 鳥を掴んで、卵の中に引きずり込んで、ぐちゃぐちゃと中から音がして。 そうして、その昏い卵の奥から鋭い目が俺を見据えて。 「……っ!!!」 目が覚めた。 * 目が覚めたのは幸運だった。 「……おい。やめろ」 「……」 自分の腹を、そいつは刺している。 初めは銃で。 それを取り上げたらナイフで。 ナイフを取り上げたら自身の爪で。 爪を切り落としたらそこらの枝で。 「邪魔をするな」 「……するさ」 どうしようもない。 「どうして邪魔をする」 「だってあいつが」 「あいつが出てこれないじゃないか」 「この肉が邪魔なんだ」 「やめろ」 「……寝ろ」 「いやだ」 「寝ろ」 「いやだ!!」 「……」 「……かっ」 仕方がない。 強制的に頸動脈を絞めて、そいつを落とした。 一度寝て起きれば、こいつは記憶をなくしている。だから何も問題ない。 平常時のこいつは誰にも負けないくらい強い。 強くて、硬くて、そうして、俺達を守る時、俺達に見せる背中は、酷く脆い。 俺が、こいつが支配し切れないこいつを守ってやらねばならない。 喩え何を犠牲にしても。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2018.04.27 23:41:52
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