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長押 綴

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2017.11.08
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カテゴリ:.1次題
彼女の目は節穴だ。
とても美しいその虚空に、人は吸い込まれる。
それでも彼女が映すのはー……。









彼が浮気をした。
よりにもよって、あたしを殺しかけたあの女と。
あたしに似てたからだとか、彼女に押し倒されたとか、病気で朦朧としてたとかいうけれど、そんなのは言い訳にならない。

あれだけ命を賭けて探していた彼のことが途端にどうでもよくなった。
同時に、一緒に彼を探していた他のあの人が光り輝いて思い出された。

「あたしが死んだと思ってたんでしょう」
「だからやけになってあんなことしたんでしょう」

彼は常時、あたしの名前を呼んで致していたという。
だけどそんなものは免罪符にならない。

当のあの女はといえば、ちんまりと縮こまり、小さな子供のように、他の保護された子にくっついている。

そうしてその子を、かつて彼女の恋人だった人の名で呼んでいる。

彼岸に居る奴なんて責める気も起きない。


ああ、あたしはどうしてこんな風にどろどろしているんだろう。
あたしはこんなんじゃなかったのに。
全部彼氏のせいだ。
彼があたしのことを信じてくれてたらよかったのに。
あたしはずっと彼のことを信じていたのに。


あたしの目は節穴だった。
なんてことない、これはたったそれだけの話。





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最終更新日  2018.12.25 01:58:33
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