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カテゴリ:🔗少プリ
※リュウホウ→直
※色々捏造 ※二次創作 ※リュウホウが「火をつけた真犯人でない」場合 (火をつけた真犯人ではない場合の話→*) いつもいつも僕は要領が悪い。 「お前がやったことにしてくれ」 と言われ、背負ったらそれだけ褒められた。 自分がやったことではなくても、犯した罪を言えばそれだけ一目はおかれた。 下手なことをしたらお前の居場所も火の海にしてやるよなんて言って、調子に乗っていた。 -間違いだったと分かったのは逮捕されてからだ。 毎日惨めで辛くてここではやったことの自慢なんて日常茶飯事で、身一つで生きていけない者はあっという間にえさにされるだけ。 そんな毎日でひとつだけ輝いて見えたものがあった。 鍵屋崎から貰った手拭い。 鍵屋崎は潔癖で、実は少し優しい所があって、はかなげなのに硬質で強かで、僕もそんな風になれたらなんて思えないけど、それでも少しでも仲良くなれたら、なんて、望まないけど、鍵屋崎が俺を視界に入れるだけで俺は満たされてた。 けれど今僕の目の前にあるのは薄暗い房と、涙のしみ込んだ手拭いだ。 鍵屋崎の匂いはとうに消えていて、僕の拭った糞の匂いと泥の匂いと、日々の仕事で染みついた血の臭いだけがそこにあった。 鍵屋崎に軽蔑されてからはもうそれこそが僕にお似合いのものだと分かっていた。 誤解なんだ、僕が殺したわけじゃないんだ、と言いたかったけれど、それでも、それを言い張るだけの気力は僕には残されていなかった。綺麗なもの、潔癖なもの、きよらかなもの、それに触れてはいけない。汚してしまう。僕は言い訳をすることさえ許されない。許されるのはただ一つの道だけだ。 鍵屋崎は俺を見るだろうか。 また軽蔑するだろうか。 それとも罪を償ったとして、少しでも見直してくれるだろうか。 嘘ばかりの人生で出会った、嘘を吐くことが下手なあの少年は、生きていけるだろうか。 親にも抱いたことのない不思議な気持ちを抱きながら、僕はまるくくくった布に体重をかけた。 今度生まれてくる時は、嘘を吐かずに済むように祈りながら。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021.04.17 23:50:38
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