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カテゴリ:.1次長
かつてこの地には邪教が蔓延っていた。
それを一掃し、邪神や呪術などに頼らずとも人が生きていけるようにした者こそわれらが開拓団ポワンである。 "ザウルス"”レーザー””ユーフォ””メシア””エリマ”…… 彼らはみなこの地をよりよくしたいという想いでここにやってきた、れっきとしたAI搭載機械である。 新天地に人間たちは訪れたがらなかったので、代わりに機械の体を持つ、死にづらい……そして死んだとしても復帰がたやすいザウルス達が手を挙げたのだ。 しかし彼らはもう居ない。 生き残ったのはポンコツのデフィ……いや、人間に擬態してからはティルガと名乗る、おれだけだ。 「どうしてお前は操作されないんだ?」 生みの親と名乗るディクシアはそう叫んだ。知らない。そんなの知らない。 どうしていきなりみんながこの地のみんなに対して支配的になっちゃったのかもわからない。 おれを今ここで匿ってくれてるジェナもテナラもペリダもみんな震えるおれを慰めてはくれたけど、どうしたらいいのかわからないみたいだった。 何がいけなかったんだろう。 崖から落ちて足を失ったフェガリに足を作ってあげたこと? ラムラムをうしなって悲しんでたトレンにラムラムを作ってあげたこと? そのことの何がいけなかったのか聞いてたらトレンはめちゃくちゃ俺に怒りだした。 そして俺に掴みかかったから、庇おうとしてザウルスがこう言ってしまったんだ。 「これだから未開の民族は」 だって俺たちの国では当たり前のことだったから。 そうでないものの怒りを受け容れるには、違いをはっきり認識するのが一番手っ取り早かったから。ーーーーけれど、トレンは決定的にそれで俺達への不信をもってしまったみたいだった。 「お前に俺たちが救えるはずがない。便利な道具も生活も要らない、帰れ!」 「そうだそうだ~」 「エヴァガ……」 俺たちの存在を面白いと言ってくれていた人達も敵に回った。 ああ、これだから、人間は。 こんなことを思いたくなんてないのに。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021.06.05 03:57:37
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