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2022年09月16日
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カテゴリ:科学本

「物理の超発想 -天才たちの頭をのぞく」ローレンス・クラウス(青木薫訳)(講談社)

少し古い本だが、理論物理学者・宇宙学者の手になる本。原題は「FEAR OF PHYSICS」、「物理学者はマルがお好き」というタイトルでハヤカワから文庫化されてもいる。序文にもあるように本書では「現代物理学というジャングルを歩き回るにはどうするか、つまりどんな装備を持って行ったらいいのか、崖や袋小路にぶちあたらないためにはどうするか、どんな道が面白そうか、無事に家に帰りつくためにはどうするか」が示されている。ただ、後半は素粒子論などを学んでいない自分にはかなり難解だった。でも・・・面白かった。

P16 牛を球と近似してしまう物理学者。この単純化はずっと尾を引く。ここではスケーリング則について。「結局、どんな天才的な牧場主であろうとも、際限なく大きな牛を育てることは不可能である。これは生物学的問題ではなく、自然界のスケーリング則ーものさしの目盛りを変えても、変わらない物理的関係があることーによって課される制約である。」どんな制約なのかに興味がある人は是非本書を。

P54 「一生のうち、自分の名前が呼ばれるのを何回聞くだろう?十年間に食べる食物は、何キログラムになるだろう?正確な答えを出すなど思いもよらない難題を、一歩一歩解いていけるのはとても楽しくて、一度やったら病みつきになる。」いわずもがな、フェルミ推定のお話。私もハマってます。

P64 素粒子の寿命を見積もるために次元解析するところで。「ここからとても重要なことがわかる。つまり、k(註:数係数)の値が1から大きくずれるような場合には、何か理由があるはずだということである。たとえば粒子の寿命が次元解析で得られる値から大きくずれていたなら、それに関連するプロセスがよほど強いか、あるいは弱いに違いない。」「通常の牛の十倍も大きいのに、体重が1キログラムもないスーパー牛(中略)は何らかの新素材で作られているに違いない」

P96 「宇宙飛行士が無重力状態を経験するのは、軌道運動している物体が絶えず”落下”しているからである。無重力状態というのは、重力がない、ということではない。実は、人工衛星やスペースシャトルが飛んでいるあたりでは、地上と同じくらい強い重力がある。」

P102 海王星の発見や暗黒物質に絡めて・・・「なにしろ、光を放出しないー見えないー新物質が必要だ、などと言うことは、ずいぶん身勝手な要求に思える。逆に、ニュートンの法則が、銀河やそれ以上のスケールでは成り立たないと仮定しないのはなぜなのか?」「暗黒物質の存在を仮定するほうがずっと慎重な態度なのだ」

P108 「たとえばあなたが、静止している電荷を測定すれば、もちろん電場が測定されるだろう。しかし、もしあなたが同じ電荷のそばを走り抜けたならば、磁場も観測されることになる。どちらの結果が得られるかは、あなたの運動状態によるのである。ある人の電場は、別の人にとっては磁場になる。電場と磁場は、同じものの別の側面に過ぎないのだ。」告白するけど、電磁気が苦手だ。この言明にうなづけるようになりたい。

P111 「かくしてアインシュタインは、次のような明白な問題に直面した。ガリレオの相対性の原理を手放すか、それとも電磁気と電磁波に関するマックスウェルの美しい理論を手放すかである。」「彼の解決法は驚くほど単純だった。ガリレオとマックスウェルの両方が正しいと言えるのは、二人の観測者が、自分の作り出した電磁波の速度を測定したらマックスウェルの予言した値になり、かつ、相手の作り出した電磁波の速度を測ってもやはり同じ値になる場合だけである。」

P124 「ところが量子力学は、観測できないくらい短い時間ならば、粒子は光よりも速い速度で移動できると述べている。人間には、光よりも速い速度は観測できないのであるから、その限りにおいてはわれわれの観測は相対性理論とは矛盾しない。しかし、量子力学が特殊相対性理論と矛盾しないためには、そんな短い時間にー私にはそれが測定できないとしてもー粒子は時間を逆向きに移動しているかのようにふるまうことができなければならない。」はい、仮想粒子の話です。

P139 その前のページの映画館でのコメディー映画の比喩は正直あんまりピンと来なかったのだけど・・・コヒーレントな凝縮について。「系の中の量子状態はとびとびのエネルギー準位に分かれているので、いったんすべての粒子が一つの状態に凝縮してしまうと、この凝縮状態と、一つの粒子だけが好き勝手に運動して他の全粒子は凝縮しているような状態とのあいだに、大きな”エネルギーギャップ”が生じる。」なんかピンときた。

P153 P108の話にも関連している。この前のページの「羅生門」の引用はバシッと的を射ている。「この思考実験を行うために、知っておくべき事柄が二つある。第一に静止している荷電粒子に作用するのは、重力を別にすれば、電気の力だけだということだ。そんな粒子のすぐそばに、世界一強力な磁石を置いたとしても(静止している)粒子はそれに気づきもせずに平然としているだろう。二番目は、もし磁石のところで荷電粒子を動かせば、その粒子はなんらかの力を受けて運動を変化させるということだ。(中略)さて、この二つのことさえわかっていれば、一人の観測者にとっての電気力が、別の観測者にとっては磁気力になることが容易に示せる。」答えをここに記すのはやめにするけど・・・非常に納得。電磁気の教科書にもこんなふうに書いてあっただろうか。

P156 見え方の違い。その視点が大事だと気付かされた後にここを読むと本当に色々納得。「質量」について。「それと同じことが、超伝導体の中の光に対しても起こっていたのを思い出そう(註:マイスナー効果のこと)。もしもわれわれが超伝導体の中で生きていたとすると、光を運ぶ光子には質量があると考えるだろう。しかしわれわれは実際には超伝導体の中で生きているわけではない。したがって超伝導体中で光が質量をもつように見えるのは、超伝導体内の物質の奇妙な状態と光とが、相互作用するせいにすぎないのだと考えられる。」「超伝導体という洞窟(註:プラトンの洞窟の比喩)の中にいて、一見何の関係もなさそうなさまざまの現象を統一し、限られた経験世界の外に存在するものを認識するためには、インスピレーションの飛躍が必要である。」話はこの後、電磁気と弱い相互作用の統一の話に導かれる。

P192 「一つは水で、あらゆる物質の中でほとんど唯一、凍るときに膨張する。もし、このたぐい稀なる特徴がなければ、湖は表面からではなくそこから凍り始めるだろう。魚は冬を生き延びることができず、われわれが知るような形での生命は生まれなかったはずである。」チコちゃんに何でって聞かれそうな問題だ(笑)

とりあえず今日はここまで。後半は犬耳が多いので。






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最終更新日  2022年09月16日 00時20分57秒
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