カテゴリ:ある女の話:カリナ
今日の日記
(私の現状もライアーゲーム?と「ライアーゲーム」「リアル・クローズ」感想☆) 「ある女の話:カリナ44(嫌な予感)」 着信履歴を見ると、 またいつもの公衆電話からだった。 昼間時々ある電話。 一度だけ取ってみたら、 無言だったり、すぐ切れたりした。 何だろうコレ…。 バイトの昼休み。 私が携帯を眺めてると、 ミッチャンが話しかけてきた。 「どしたの…?」 「ん、何か電話かかってきてたんだけど、 公衆電話からだから誰かわからないや~って思って。」 「そういうのって気持ち悪いんだよね。」 「ね~。」 私とミッチャンは顔を見合わせて頷いて、 スタッフルームで店のハンバーガーを食べていた。 「あのさ…ミゾちゃんて、 オノダさんと付き合ってたりする?」 「え?!」 私は驚いて声をあげた。 正直、バイトの誰にもオノダさんと付き合ってることは言ってなかった。 ミッチャンは二人でいる時を見計らって聞いてきたみたいだった。 「なんで?」 「うん、ケンちゃんが、 ミゾちゃんとオノダさんが車に乗ってるの見たって言うんだよね。」 あ~、いつかこんな日が来るんじゃないかと思ってた。 ミッチャンには打ち明けなくちゃな…。 私はどこから話そうか…って、 ちょっとハンバーガーを飲み込んでから返事しようと思ってた。 でも、ミッチャンの言葉の方が先だった。 「でも、そんなことないよね? だって、オノダさんて結婚してるんでしょ?」 一瞬、頭の中が真っ白になった。 ハンバーガーをゴクンと飲んで聞いた。 「え… バツイチじゃないの…?」 「ううん、別居してるってケンちゃんが言ってたけど…。 え?何?ホントなの? もしかしてホントに付き合ってるの?」 「あ、待って… ゴメンネ、ちょっとその話待って…」 私の様子にミッチャンが黙った。 私は何も言えなくなってしまった。 ミッチャンは間を持たせるために食事の続きを始めたので、 私も手に持っていたハンバーガーを口に入れた。 何だか味がよくわからなかった。 とりあえず、目の前の物を食べちゃわなくちゃ…って、 それだけしか考えられなかった。 「うん…。 付き合ってるけど… まだ結婚してるなんて知らなかったって言うか…」 沈黙が申し訳無くて、 思ったことを口にした。 「嘘?!信じられない! オノダさんって何考えてるの?!」 「待って、ミッチャン、待って…。 私も、 私も混乱してて…。」 ミッチャンは私の気持ちを気遣ってくれたのか、 言いたいことがあるのを呑み込んでくれているようだった。 「大丈夫?」って、仕事に出る前に私の肩を抱いて、 思い切ったように言った。 「もしかしたらミゾちゃんの言うように、もう別れてるかもしれないよね。 でも、確認した方がいいよ…。 でも… もしまだ結婚してるなら、 やめた方がいいよ、そんな付き合い…。」 私は頷いて、ありがとう…って返事をした。 ミッチャンが心配しないように笑顔を作って。 仕事をすることで気を紛らわせた。 明日から私は旅行の予定だった。 今ミツルは帰郷してるから、その間の連絡はミツルからするって言われてた。 友達と会ったり、親がいたりするから話にくいとかで。 今夜聞いてみよう… そう思うのに、何となく怖くてしょうが無い。 ミツルは本当のことを話してくれるんだろうか? そしてもしもまだ結婚してるとしたら… 私は一体どうしたらいいんだろう? 私はバイトが終わってすぐにミツルに電話をしていた。 でも、電源が入って無い。 とにかくミツルからの電話を待つしかないらしい…。 嘘。 嘘だよね? でも、心のどこかに、 それは有り得る話のような気がした。 事故を起こした日、 繋がった電話の不気味さ。 以来時々かかる無言電話。 故郷に帰ったら電話しちゃいけないって、 もしかして… 怖い…。 その日のバイトは早上がりだったので、 帰りに旅行で必要な物を買ってから家に帰って荷造りをした。 電話が鳴る度にドキリとしたけど、 オノダさんからじゃなくて、 明日の確認のために、マッシーやユウからだった。 私は旅行に行けることがありがたかった。 こんな気持ちで、バイトや家にいたくない。 マッシーやみんなといっしょにいて、 何もかも忘れたい。 ようやく荷造りが終わって、お風呂も済ませて、 いつもの時間にミツルから電話がかかってきた。 「よお。」 「うん…。」 別に用も無いのに帰郷してから毎日かかってきてた電話。 それがこっちからかけると都合が悪いからってことだなんて、 今まで一度も疑ったことなんてなかったけど…。 「あのさ… 変なこと聞いたの。」 私は冗談っぽく笑いながら言った。 「何?」 「ミツルがまだ結婚してるって。 そんなこと無いのにね。」 携帯の向こうから返事は無かった。 それが答えのような気がした。 「別居してるって… ホント?」 「誰から聞いたんだよ?」 すぐに否定をしてくれないことで、 嫌な予感が確信に変わった。 「誰からじゃなくて、ホント? ホントに別居なの?」 向こう側から、車の音なのか雑踏の音なのか、 外にいる空気が伝わってくる。 でもミツルからの返事は無い。 私はミツルが返事をするまで待つ。 「帰ったら… 帰ったら話しするから…。」 「じゃあ、やっぱりそうなのね?!」 「そうだったらどうすんだよ? 離婚したらオマエすぐに俺と結婚するか? できるのか? 無理だろ?」 「離婚するってこと?」 「俺は離婚するつもりだ。」 今度は私が黙った。 そんな… それは私が聞いたからなの? 本気なの? 「私のせい…?」 「うん… 今すぐってワケにはいかないけど…」 「待って、ちょっと…それって…」 「待つって何だよ? 俺と結婚する気無いの? 遊びなワケ?」 「そういうんじゃないけど…」 あまりにもいきなりな話で、頭がついていかない。 どうしてこういう話になっちゃうんだろう? ううん、こうなる話なんだろうけど、 現実感が無い。 ただ、私の返事次第では、 ミツルが離婚してしまうってことが、 人の人生を変えてしまうことが、 とても恐ろしいことなんじゃないか? って思った。 そこへ誰か部屋に来る気配がした。 「あの… 考えさせて。ちょっと頭がついていかないし…。 帰ってから、 帰ってから話したいんだけど…。」 「それでいい? 別れたいとかって言うんじゃないよな?」 「考えたいの…」 ミツルが息を呑むのがわかった。 「今すぐ帰ってそっち行く。」 どうしてそうムチャクチャなことを言い出すんだろう。 私はそうさせたくなくて、慌てて返事をした。 「帰ったって、私旅行に行っちゃうし…」 「旅行とこの話とどっちが大事なんだよ?」 ミツルが怒ってるのがわかる。 でも、引くワケにはいかない。 「みんなに迷惑かけるワケにいかないから。 来てもいないから。 ね、帰ってからにしよ。 そんな急にこんな話されても… 急になんとかなる話じゃないでしょ?」 「うん…」 どっちが年上なんだかよくわからない…。 でも、もう年齢なんて付き合っちゃうと関係ないんだってことは、 この付き合いでよくわかった。 「ねえ、俺のこと嫌いになった?」 ミツルが哀れそうな声で聞いてくる。 ここで、ウンって言ったら、また来るだの何だのって話になるだろう。 後ろには部屋に戻った妹がいた。 「ごめんね、今妹がいるから… 帰ってから…、ね?」 ミツルはまだ何か言いたそうだったけど、 これ以上何か言っても無駄と判断したらしい。 ようやく電話を切ると、 ため息が出た。 「どうしたの?お姉ちゃんダイジョブ?」 「うん…何とか…ね。 もお…寝るわ…。」 そう言ったものの、なかなか寝付けなかった。 ミツルとの電話のやりとりが蘇る。 俺は離婚するつもりだ。 俺と結婚する気無いの? 遊びなワケ? 離婚… 結婚… 私とはまだ縁が無いと思っていた言葉が、 目の前に迫っているような気がする。 そして、私には気がかりなことがあった。 ようやくウトウトしたら、目覚ましが鳴った。 まさかこんな気持ちで旅行に出るなんて…。 私はとにかく出かける支度を始めた。 前の話を読む 続きはまた明日 目次 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2009年12月16日 21時03分33秒
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