ありがとう、さようなら
わが家の最年長犬だったペンブロークのチコが今しがた息を引き取りました。1992年5月生まれ、まだコーギーがブームになる前に出会って生後7ヶ月で我が家に来ました。長くデパートのペットコーナーにいた彼女はコーギーらしい活発さを発揮できるまで数日かかりました。初めて過ごす一般家庭での様子に戸惑いベランダにいた彼女を見かけた隣の人が置物だと思ったぐらい表情もなく何をするのもおそるおそる・・・それでも、お店で見せてもらった時の性格のよさは生き生きとした犬らしい行動ができるようになっても変わらず子供や小さい生き物に優しくショードッグとしての度胸もあって、数少ないショーの経験で各犬種の一位だけを集めたクラスの中から選ばれる13頭のExcellent Group犬にアメリカ人ジャッジに選出していただいたこともありました。私が連載記事を書いていた某愛犬雑誌の表紙を飾ったこともさまざまなイベントの記事中で姿が載ったこともありましたが彼女のいいところは何より優しさでした。彼女が旅立った今、ペットの中で最年長になった猫のさくらさんは、桜に木の下に捨てられていたところをチコが見つけたのがきっかけで保護したのです。目が開かないぐらいに弱っていた子猫を見つけた彼女は私が抱き上げるまで頑としてそばを離れませんでした。ある時、少し遠くの公園にドライブして川辺で遊んでいた時車椅子に乗った脳性まひの男の子がお母さんと一緒に来ました。普通の犬は、車椅子に乗っているだけで警戒したり怯えたリしますしまして脳性まひで動き方や話し方、顔の表情が違っていると普通に対応できないことが多いのですがチコはそんな子供たちでも自然に接することができました。あの時出会った母子は、そんなチコを欲しいといったぐらい彼女の静かな親しみあふれる接し方は少年の心を和ませたのでした。セラピードッグとしての資質があったのだと思います。チコとの出会いは、私の人生を大きく変えたと思っています。彼女に出会ったから、今の自分がある・・・長い間、ありがとう。(2005年冬撮影)ウェルシュ・コーギー・ペンブローク