044405 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

児童小説

児童小説

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

Freepage List

Keyword Search

▼キーワード検索

Comments

千菊丸2151@ お久しぶりです。 仙人草さま、お久しぶりです。 イケ君…
mifess@ お元気ですか 2012/03/01 仙人草21さん >その後、記事の掲載が進…
仙人草21@ こんばんは。    mifessさんへ お元気でお過ごし…
mifess@ お元気でいらっしゃいますか? 生活環境が種々変化してくると、言葉に出…
仙人草21@ kyonkyonさん、こんにちは! いつも温かいコメント、ありがとうござい…

Favorite Blog

吉永小百合がブスに… New! あんずの日記さん

レインウェアで快適に New! ミーシャ1225さん

UNIQLOの寝間着。 千菊丸2151さん

矢田寺のアジサイ2024 リュウちゃん6796さん

『青いバラ』のプリ… kyonkyon727さん

Dec 23, 2007
XML
カテゴリ:カテゴリ未分類
 ぼくは、一瞬、封を開けたくないと思った。

野島さんのような気がしたからだ。

ちょっと重い気持ちになってしまった。

 毎日、いじめにあっている野島さんが不登校になった時、正直に言うとぼくは、何だかほっ

としたのだ。いじめを傍観しているぼくを、ぼくは情けなく思っていたし、それに助けてもあ

げられなかったからだ。

ぼくは、考えていただけで、何にもしなかった。

 父さんが聞いたらきっと

「塁。考えて、何も行動を起こさなかったら、考えないよりもっと、悪い」

 と、言われてしまっただろう。

父さんがいてくれたら、きっと、ぼくは行動を起こしていた。父さんがいてくれたら、何時だ

ってぼくは千人力だった。怖いものなんてなかった。

こんなことを聞いたら、父さんはきっとがっかりする。

でも、ぼくは行動できない。

 ぼくは、手紙を机の上に置き、その上に教科書を乗せた。

気になってしょうがなかった。

でもその日は、とうとう開封できなかった。

 もし、差出人が野島さんだったら、どうして名前を逆さにしたのだろう。

自分の名前を逆さにしてまで手紙を出す必要なんてあったんだろうか。

もし、野島さんだったら、ぼくに、何の用があるのだろう。     

ぼくは、野島さんに何もしてあげられなかったのだし。

野島さんに対するいじめが始まった引き金は、やっぱりぼくにもあったと思う。

あの時、野島さんはどうして、あんな発言をしてくれたのだろう。

ぼくが、イケを援護したくて必死になっていたのを、野島さんは理解してくれていたのだ。

ぼくは、ちゃんと向き合って、ありがとうと、言わなければいけなかった。でも言わなかっ

た。ぼくは気がつかなかったのだ、あの時は。

野島さんは、もしかしてぼくを咎めているのかもしれない。

 考えているうちに、もしかしたらイケにも同じように手紙がいっているかもと言う考えが、

浮かんだ。それを聞いてから読めばいいんだと思った。

 翌日、ぼくはイケに真っ先に訊いた。

「イケ、イケに誰かから手紙来なかった?」

「こねーよ、何で。ん?何だよ、ルイ。出したのかよ。オレにッ?何の用だよ。まッ、喜んじ

ゃうけどよ。オレ、手紙なんか貰ったことないからな。えへッ、うへッ。何で書く気になっ

た?」

「ぼく、出してはいない」

「何だよッ。それなら、誰から来るんだよッ」

「誰からって言われても」

「何だよ。お前が言い出したんだろッ?」

「ん、うん。イケ。まじのさんって、知ってる?」

「まじのォ?誰ッ、それ。マジかよ、変な名前ぇ。まじの、まじの。ん?ノジ?ノジかよ?」

「野島さんじゃないかと、ぼくも思う」

「ノジが何でッ。ノジがルイに手紙寄こしたわけかよッ?そうなんだろッ?」

 イケが、ぼくを射抜くように見て言った。

                               つづく
 





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  Dec 23, 2007 11:04:15 PM
コメント(0) | コメントを書く



© Rakuten Group, Inc.