大手広告代理店を辞め、「珠川食品」に再就職した佐倉凉平。入社早々、販売会議でトラブルを起こし、リストラ要員収容所と恐れられる「お客様相談室」へ異動となった。クレーム処理に奔走する凉平。実は、プライベートでも半年前に女に逃げられていた。ハードな日々を生きる彼の奮闘を、神様は見てくれているやいなや…。サラリーマンに元気をくれる傑作長編小説。
タイトルと表紙デザインから想像すると、最近流行の純愛ものか、感動もののようですが、中身はまったく違います。
(ある意味で、純愛であり、感動ではありますが)
会社をお払い箱になったリストラ候補者たちが、その特異なキャラクターを活かしながら、会社を振り回してしまう、というお話。『ショムニ』を思い起こさせますが、このお客様相談室のメンバーがそれぞれキャラが強く、かつそれぞれに問題を背負っています。
長編ですが、一気に読めます。スラップスティック的な面白さもありますが、会社上層部・幹部の描き方が典型的すぎるという気はします。どうしようもなくダメな人間に書きすぎているような気がします。彼らもやはり背負っているものががあり、かつ、もがいているところを書いた方が厚みが増すような気がしました。