カテゴリ:本の感想(な行の作家)
二階堂黎人『クロへの長い道』 ~講談社文庫、2003年~ 幼稚園児探偵・渋柿信介くんが活躍するシリーズ第2作です。今回は4編の短編が収録されています。 それでは、簡単に内容紹介と感想を。 ーーー 「縞模様の宅配便」 公園でリコちゃんと遊んでいたシンちゃんは、公園近くのあきらくんを遊びに誘おうと、その家に向かった。ところが母親はひどく当惑した様子で、あきらくんの不在を告げた後、宅配便の縞模様の車に、配達員とともに乗り込んだのだった。その頃シンちゃんの父親のケン一は、誘拐事件と思われるものの、実態がつかめない事件の捜査にあたっていた。 「クロへの長い道」 同じ幼稚園のイクコちゃんから、失踪した犬のクロを捜してほしいと依頼があった。父親との不和もあり、イクコちゃんの両親から情報を得るのは困難であるなか、シンちゃんはクロの親類関係の調査を進め…。 「カラスの鍵」 シンちゃんが出演するクイズ番組の収録が終わった後、シンちゃん一家は事件に遭遇する。その日使われない予定のスタジオの中で、掃除婦が殺されていた。また、同じ頃、鑑定番組に出すはずだった宝石をはめ込んだ石が、二重の密室状況のなか、消失していた。 「八百屋の死にざま」 幼稚園のユウちゃんから、イグアナを捜してほしいと依頼を受けたシンちゃんは、公園で調査をしている中、小学生たちと知り合いになる。翌日、再び小学生たちと出会ったシンちゃんは、学童のスーパー・ドッジに誘われる。そして向かった体育館のなかでは、指導にあたっていた八百屋の青年が殺されていた…。 ーーー 「縞模様の宅配便」は、真相も面白く、犯人をつかまえるときも痛快で、良かったです。 表題作「クロへの長い道」は、なかなかにハードボイルドで、調査の過程がとても楽しめました。解決にも安心です。 「八百屋の死にざま」は、今まで読んできたシンちゃんシリーズの短編の中でもっとも重たい作品でした。妙なリアリティがあるのが、余計に怖かったです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2012.12.08 23:01:50
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