カテゴリ:西洋史関連(史料)
~ちくま文庫、1986年~
15世紀後半、無頼の騎士トマス・マロリーがまとめあげ、イギリス初の印刷業者であるキャクストンが出版した『アーサー王の死』の編訳です。マロリーの序文によれば、本作は全部で21巻、507章からなります。この編訳書では、聖杯の探求に関する巻や、トリストラム(トリスタン)が主人公の巻などが省略されており、アーサー王の誕生・即位、ローマとの戦い、円卓の騎士の中でも最も強いとされるラーンスロットに焦点を当てた物語、そしてアーサー王の死に至る物語が中心となっています。 具体的な構成は次のとおりです。
――― 序文 アーサー王の誕生と即位 ローマ皇帝ルーシヤスを征服 ラーンスロット卿とガラハッド卿 ラーンスロット卿の狂気 ラーンスロット卿と王妃 グウィネヴィア王妃とラーンスロット卿 最後の戦い アーサー王の死
解説 マロリーとアーサー王物語 ―――
ラーンスロットは王妃グウィネヴィアに恋いこがれるのですが、別の女性に慕われ、魔法で(自分は王妃と信じていたのに)別の女性と関係をもち、後に聖杯探求で活躍するガラハッドが生まれたり、王妃の嫉妬により罵られて狂気に陥ったり、とはいえ王妃が別の騎士の策略で裁判にかけられたときには全力で助けたりと、二人の関係性が面白かったです。どっちもどっちというか…。 西洋中世史を勉強していながら、アーサー王物語にはあまりふれたことがなく、最近シドニー・ラニア編(石井正之助訳)『アーサー王と円卓の騎士』(福音館書店、1972年)を読んだ程度なので、あらためて本書で物語にふれられて良かったです。(だいぶ前に購入していたものの読めていなかったので、この度通読できたのも個人的には良かったです。)
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かなり遅くなりましたが、本年も興味深い記事を楽しみにしております。
何卒よろしくお願い申し上げます。 アーサー王物語といえば、昔「円卓の騎士・燃えろアーサー」というアニメーション作品があり、そのアニメを見た世代はある程度アーサー王にまつわるケルト伝説の骨格がインプットされていると思います。 大人になってから、その正史を読むことは、昔の記憶を反芻する意味でも楽しいことだと思いました。 (2020.01.15 06:35:05)
コメントありがとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
さて、アニメについては存じ上げませんでした。読書も良いのですが、漫画や映像作品にふれるとよりイメージもわきやすく、記憶にも残りやすいように思います。(読書はすれど、どんどん忘れていくのがおそろしいです。。) あらためて、拙い記事ではありますが、今年もぼちぼち更新していこうと思いますので、よろしくお願いいたします。 (2020.01.15 23:32:59) |
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