映像四郎の百人斬り

　でけぇ。
　
　海岸、でけぇ。

　ヒト、いねぇ。

　冬だし、さびーし。

　いるわけねぇ。

　波でけぇ。

　津波こないかなぁ。

　きたら、逃げないと。

　空、でけぇ。

　雲、でけぇ。



　お、５００メートル先に、

　人影、発見。

　ちっちぇぇ。

　釣りしてる。

　あたり、みまわしても、

　その釣り人しか、いねぇ。

　ヒトいねぇ。



　太平洋、とおくのほうが、緑になってる。

　波よけなのか、海んなかに、つまされてるテトラポットに、

　がきんがきん！

　波が、ぶつかって、砕け散ってる。

　サーフィンしたら、きっと、あそこに、

　ぶちあたって、骨が、木っ端微塵だぁ。

　こえぇ。



　視界、ひれぇ。

　フレームには、おさまんねぇ。

　視界、ひろすぎて、

　視界、まるくなってる。



　ここで、オレが、見知らぬヒトに、刺されても、

　きっと、目撃者、いねぇ。

　こえぇ。



　遠くのほうで、ちっちゃくみえる飛行機が、

　ゆっくり着陸体勢だ。

　ゴジラでてこないかなぁ。

　いねぇ。

　そんなもん、いねぇ。


　
　雲が、びよびよ、伸びてて、

　えぇ、感じやぁ。

　太陽光線が、浜にさしちょるわぁ。

　モンゴルのウランバートルにいきたくなった。



　なんかの弾みに、その辺に死体でも、

　埋まってないかなぁ。

　手首だけ、砂から出てたりして、蟹にくわれてんの。

　やべ。

　やべぇ。

　やんでる。

　いや、やんでねぇ。

　普通だ。

　ここきたら、みんな、そう考えるだ。