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カテゴリ:書籍
夏休みに高野山と比叡山を訪れたので、復習の意味で本書を手にした。著者は、高野山大学名誉教授で高野山真言宗管長の松長有慶さん。 高野山を訪れて意外だったのは、ごく普通の田舎町に見えたこと。「現在の高野山は人口およそ二千数百人。そのうち僧侶はほぼ一割、大多数は在家の人々によって構成されている」(13 ページ)そうである。学校からコンビニまで何でもある。 「真言密教では、人間と自然は対立関係にあるのではなく、ミクロコスモスとしての人間と、マクロコスモスとしての大自然とは、本質的に一体、不二の関係においてあると考える」(118 ページ)という。これはキリスト教に似ているが、日本人は「物質にいのちを認める」。 空海は 835 年に 62 歳で死去するが、醍醐天皇の治世である 921 年 10 月、朝廷から弘法大師という贈り名が届けられた。「このころから、大師は高野の山に今もいまして、人々に救いの手を差し伸べられておられるという入定留身の信仰が、日本全国に広がっていく。」(123 ページ) 松長さんは「あとがき」で「社会性と非社会性を一人の人格の中で見事に融合させた大師の生涯は、複雑な問題を抱えた社会を生きる現代人に、今なお理想的な生活規範の一端を示しているとみてよい」(223 ページ)と結んでいる。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2014.12.01 20:10:06
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