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カテゴリ:書籍
著者は、IC カードの暗号技術の研究開発経験のある神永正博さん。 第1章では、シーザー暗号に始まり、ストリーム暗号(RC4 など)、ブロック暗号(DES など)を、簡単な実例をまじえて解説してゆく。 実際の暗号化通信は、「RSA 暗号は巧妙な仕組みだが、大きな整数のべき乗と剰余計算が必要となるため、処理には時間がかかる。電子メールやサイズの大きなファイルを暗号化するには大変な時間がかかり、実用的ではない」(115 ページ)としたうえで、ストリーム暗号やブロック暗号とのハイブリッド暗号方式を用いている。 第4章は、仮想通貨でも使われている楕円曲線暗号だ。RSA 暗号より安全で人気が高まった。なぜ安全なのか、グラフを使ってわかりやすく説明している。また、楕円曲線暗号の応用例であるビットコインの仕組みを説明し、「管理者なしに経済取引できること」(180 ページ)を示す。その応用としてのスマートコントラクトは、コインだけでなく様々な取り引きを自動化できるという。暗号化技術は実社会にイノベーションをもたらそうとしている。 第5章は、半導体の特性を利用して暗号解析を行う手法を紹介する。ソフトウェアではなく、ハードウェアの挙動を観測して暗号を解読しようとするサイドチャネル攻撃である。たとえば 1999 年に発表された DPA(差分電力解析)は、多数回の暗号化あるいは復号処理に対する電源変動を観測し、統計的に解析する手法で、神永さんらが対策に苦心していたところ、他社が対策の特許出願をしたという。いまも、暗号化とサイドチャネル攻撃のイタチごっこが続いている。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2018.11.28 12:39:54
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