テーマ:洋楽(3317)
カテゴリ:音楽:CD
ぼくだったら、その競演だけでも観てみたかった。すごかっただろうなぁ。 しかし、サンタナの二大ヒット曲「ブラック・マジック・ウーマン」と「哀愁のヨーロッパ」は演奏しなかったそうだ。 まあ、グラミー賞8部門を独占したりと、昔のヒット曲にたよらなくても、いい曲がいっぱいあるのだろう。それとも、夏フェスにあわせた選曲だったのかもしれない。 この「「ブラック・マジック・ウーマン」」が収録されている「天の守護神(Abraxas)」というアルバムと、「哀愁のヨーロッパ」が収録されている「アミーゴ」というアルバムは、ちょっと別格扱いの「ロータスの伝説」とならんで、サンタナのアートロックぽい、アルバム・ジャケットの中でも秀逸のものだ。 「天の守護神(Abraxas)」アルバム・ジャケットのデザインは、 マイルス・ディビスの「ビッチェス・ブルー」のジャケットをデザインしたMati Klarweinというひとの作品だそうです。 このアルバム・ジャケットを見ているだけでも、いろいろと想像を掻き立てます。 最近、紙ジャケットで、サンタナのCDが再発されているので、つい買ってしまいましたが、デザインや手触りを楽しむならやっぱり、紙ジャケにかぎりますね。 サンタナ/天の守護神(紙ジャケット仕様) 収録曲は、 1. Singing Winds, Crying Beasts (風は歌い、野獣は叫ぶ) 2. Black Magic Woman/Gypsy Queen (ブラック・マジック・ウーマン / ジプシー・クイーン) 3. Oye Como Va (僕のリズムを聞いとくれ) 4. Incident at Neshabur (ネシャブールの出来事) 5. Se a Cabo (全ては終りぬ) 6. Mother's Daughter (マザーズ・ドーター) 7. Samba Pa Ti (君に捧げるサンバ) 8. Hope You're Feeling Better (ホープ・ユー・アー・フィーリング・ベター) 9. Nicoya (エル・ニコヤ ) 以下は、ボーナス・トラックで 1970年4月18日のロイヤル・アルバート・ホールでのライブです。 10. Se a Cabo [Live] (全ては終りぬ ) 11. Toussaint l'Overture [Live] (祭典) 12. Black Magic Woman/Gypsy Queen [Live] (ブラック・マジック・ウーマン / ジプシー・クイーン (ライヴ) 1曲目の「Singing Winds, Crying Beasts」 (風は歌い、野獣は叫ぶ)は、 ピアノの音から、ウィンド・チャイム、ドラ(?)などのパーカッションに、サンタナの動物の咆哮(ほうこう)のようなギター。神秘的な曲ではじまるこのアルバム、かなりの名曲そろいです。 いやがおうにも期待感が高まり、2曲目には、大ヒット曲の .「Black Magic Woman」がはじまります。 キーボードの音にパーカッション、そしてギターの有名なフレーズが入ってきます。 サンタナの代名詞的この曲ですが、意外にもこの曲はフリート・ウッドマックのオリジナルなんですね。 「Black Magic Woman」と完全に一体化したように、曲は自然に「Gypsy Queen」に続いて行きます。曲のスピードもアップし、ベース、パーカッションの激しいリズムにのせてギターの激しくも官能的なソロが続きます。 サンタナは、サン・フランシスコ、ベイ・エリアを中心に、サンタナ・ブルース・バンドとして活躍、名前をサンタナに変えて、まだ1枚のアルバムも出さないまま、1969年のウッドストックで熱狂的な感動で受け入れられ、事実上のデビューをはたしました。 だから、1枚目のアルバム「サンタナ」も2枚目のこのアルバム「天の守護神」も、ファンが待ちに待って登場したということで、アメリカでは新人バンドとしては異例の大ヒットだったようです。 3曲目も、「Gypsy Queen」からの展開が続いて、キーボードとパーカションが作り出すリズムに乗せて、 ♪Oye comova, mi ritmo, bueno pa’gozar mulata♪ と歌詞が続きます。この曲も、サンタナのオリジナル曲ではなく、NYのラテン・サルサ・シーンをひっぱていたティト・プエントの曲。 しかし、後半のカルロス・サンタナのギター・ソロとパーカッションの掛け合いを聴いていると、どう考えてもサンタナのオリジナル曲のように感じてしまいます。 5曲目の「Se a Cabo 」 (全ては終りぬ)や、 8曲目の「Hope You're Feeling Better 」 (ホープ・ユー・アー・フィーリング・ベター) などを聴いていると、1970年当時のロック、ブルース・ロック的なアプローチが残っていて、面白いです。 サンタナの出発点が、ブルースとラテンの要素をロックに持ち込んだということを思い起してくれます。 しかし、この2曲、そのブルース・ロック的要素で、ブラインド・テストをしたら、サンタナの曲として認識されるかどうか。 本人達は、自分達の音楽を「ラテン・ロック」というラベルを貼られるのを嫌がっていたようですが、21世紀になった今も、何の古さも感じさせないのは、その「ラテン・ロック」とよばれた曲たちです。 2.曲目の「Black Magic Woman/Gypsy Queen 」(ブラック・マジック・ウーマン / ジプシー・クイーン)から 3曲目の「Oye Como Va」 (僕のリズムを聞いとくれ)の流れに並んで、このアルバムの聴きどころは、やっぱり 7曲目の「Samba Pa Ti」 (君に捧げるサンバ)でしょう。 サンタナからはじまる、ミディアム・スロー・テンポのこの曲。 は、カルロス・サンタナのオリジナル曲。 サンタナの甘く官能的なギター・サウンドとメロディ。 それにからむオルガン・サウンド。 リズムが、ちょっと変わって、ギター・・ソロがとうとうとメロディを弾く。 サンタナが、まだスリチンモイ(インドのグル)に出会う前の、官能的側面がよくあらわれた曲だと思います。 オリジナルアルバムでは、9曲で終わりなのですが、限定発売の紙ジャケット仕様では、3曲ほどライブ録音が収録されています。 9曲目の「Nicoya」(エル・ニコヤ )de, コンガ、ティンパレス、掛け声だけのエンディングです。 最近、セネガルのユッスー・ンドゥールのライブや、もとウェザーリポートのリーダー、ジョー・ザヴィヌルのザヴィヌル・シンジケートの、両者とも、パーカッションによるリズムのうねりを強烈にたたき出すサウンドを聴いていたので、ふと、元祖パーカッション重視バンドとしてのサンタナが聴きたかったところなので、うってつけの機会でした。 サンタナが、もともとライブでファンを獲得していったように、ライブならではの魅力があるので、紙ジャケット盤のボーナス・トラック3曲は、そのパーカッションのノリとサンタナのギターをあますところなく味わえてお買い得です。 特に、「Black Magic Woman/Gypsy Queen」などの名曲は、ライブごとに演奏が違いますので、いろんなライブ・バージョンを聴き比べるのも楽しいと思います。 ロック・ファンを自称するなら絶対に持っていて欲しい1枚です。 追記 アルバム「アミーゴ」と「ロータスの伝説」は、後日、また書きます。 関連日記 サンタナ、ショーター、ハンコック夢の共演!その1 サンタナ、ショーター、ハンコック夢の共演!その2 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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