静馬は敵の後を追って、伏見の宿屋に逗留している。恋人瀬川もそこに追いかけてきている。しかし、静馬は長旅の疲れで眼病を患っている。
家来の孫八が、按摩に身をやつして宿屋などに出入りして、敵の手掛かりを探っているが、どうも静馬の隣の部屋の侍が怪しいと孫六は思っている。隣の侍は敵股五郎の伯父桜田林左衛門であった。桜田も隣の静馬が気にかかり様子をさぐっている。
静馬の部屋に飛脚が訪ねてきて、政右衛門の手紙を届ける。手紙が読めないので、瀬川に読み下させているのを盗み聞きし、これは股五郎の敵だと気がつく桜田であった。
桜田は眼医者を買収して毒薬を静馬に盛るよう依頼する。金に目がくらんだ医者は早速静馬の部屋を訪れて治療にことよせ、毒薬を目に入れる。苦しむ静馬に瀬川もどうすることもできない。そこへ桜田があらわれ、お前もここで死ぬのだ、こちらは鳥羽から船に乗って九州まで落ち伸びる、ざまをみろと言い放つが、そこで静馬がすっくり立って、相手にきりかかる。
これはどうしたことかとあわてる桜田。
実は眼医者は家来孫八の兄孫六でこれも、眼医者に化けて敵の情報収集をしていた。静馬の眼病も敵を欺く計略で合った。
これはしまった、仲間に知らさねばとあわてて桜田は逃げていく。なおも追いかけようとする静馬であったが、それを幸兵衛という沢井家出入りの呉服屋が止めに入り、静馬に切られる。そこへ、唐木政右衛門があらわれ、これも静馬をひきとめる。幸兵衛は沢井から股五郎を九州へ逃げるときの手助けを頼まれ、引き受けたからには無事に逃がさねばという約束のため静馬を止めるが、実は幸兵衛は瀬川の実の兄であり、瀬川が恋人のかたき討ちの本懐をとげさせるため苦労をしていることも承知しており、自分は切られたうえ、彼らが追っての目を逃れるため、伊賀越えをして、鳥羽にでるということを教えて息絶える。政右衛門は瀬川のことは安心せよと幸兵衛に言い聞かす。
情報を得て、静馬、政右衛門、家来たちは昼夜兼行で伊賀峠にたどり着き、股五郎一味を待ち伏せしてかたき討ちを挑み、無事に本懐を遂げるのであった。