カテゴリ:私のすきなこと
この段は有名な安達が原の鬼婆の伝説を元に作られている。 義家の家来の生駒の介と身重の妻恋絹は奥州の状況を探索するために旅に出た。 安達が原にある一軒家に老婆が住んでいる。旅人が通りがかり煙草の火を貸してくれという。旅人が大金を持っていると知った老婆は追い剥ぎが出るからと泊まるようにすすめる。老婆は旅人の懐中の金を奪おうとして、首をかき切って死骸を床に投げ込んで素知らぬ顔をしている。 そこへ、薬売りの若者に送られたきれいな娘が現れる、若者は親切ごかしであとで娘にいいよろうとしている。娘は一軒家にちょっと用事があるからとはいっていく。(老婆と娘は親子のような会話をしているが、老婆が娘に敬語を使っている事からこの関係はあやしい)若者はいくら待ってもでてこないので、声をかけると娘はうちの子で もう寝てしまいました。送ってくれてありがとうとぴしゃりと戸を閉められてしまう。娘にからかわれたのか、くそーっと悪態をついた若者は草むらの方に姿を消す。 生駒の介と恋絹もこの家の前を通りがかり、臨月の身をいたわってこの家になんとか泊めてもらおうとする。泊めてやろう老婆。恋絹は旅の疲れもあってお腹が痛くなる。妊娠中なので心配だ、薬はないかとうろたえる生駒の介。村までいけば薬を売っているところがあるから連れて行ってやろうと老婆。(前段の老婆浜夕と同じ老婆ではあるが、なよなよとした動きはない。年寄りではあるが、動きが動物的というか荒々しいものを感じさせる不気味さ) ふたりが連れだって出ていく、心細い恋絹が待っているところに老婆一人が帰ってきた。生駒の介を山道に放り出して帰ってきた。お前のお腹の子がほしいと迫る老婆。命乞いする恋絹を切り殺してお腹を切り裂いて胎児をとりだし、杯に血を受ける。奥の間にある頭蓋骨で蓋をしたところ、ついた血は頭蓋骨にしみ込んでいった。(俗信で骨に血をかけると、身内のものであれば血が吸いこまれるといわれている。)不審に思った老婆は恋絹の守り袋を引きちぎったところで、生駒の介がやっとの思いで帰ってきた。あわてて姿を消す老婆。 帰ってみると恋絹が殺されいるのを発見し、あの老婆が怪しいと奥に進んでいく。そこには、環の宮と十二単の正装をした老婆岩手がおり、実は安部時頼の妻であると名乗る。環の宮を奉じて新政権を樹立しようとしている安部一族であった。きれいな娘とみえていたのは、匳の内侍で、安部一族に内通して環の宮を連れ出していたのだった。しかし、環の宮は声がでない病にかかっていて、これを治すには胎児の生血が必要と内侍に言われ、岩手は獲物を探してい たのだった。生駒の介はお前が手にかけた女こそお前の実の娘なのだと言う。 岩手は「守り袋を見てそのことは今知ったが、新政権樹立のためにわが身が役立ったら本人も満足であろう。」と涙も見せぬ気丈さであった。 (文楽に出てくる、情に弱い女性の対極にいる特異な存在である。王女メディアのような性格) 胎児の血をちゃんとしぼり、月の光にかざせば薬効が現れると匳の内侍は杯を縁側までもちだすと、なぜかその盃をがけ下にとり落としてしまう。 血が地面にこぼれると不思議や清水が湧き出てくる。これは血の穢れをを払おうとする宝剣の働き、探している宝剣がそこに埋められているのだとわかったところで、内侍は男に早変わりし、安部一族を探るため、環の宮は実は義家の子どもと入れ替わっており、内侍も実は義家の末弟であると名乗りをする。老婆と切り合いをし、老婆は我らのたくらみ破れたかと、がけから飛び降り自殺する。 崖下では安部貞任・宗任の軍勢が控えている、そこへ降りていく義家の関係者たち。貞任は宝剣を義家の末弟に返す。これで御所で宗任の命を助けてくれた借りは返した。後は戦場での勝負じゃといって、母岩手の死体を抱いてさっていく。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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