カテゴリ:何かいいたい
8月になれば文楽公演が始まるがそれに関連しての怖い話をひとつ。 出てくる幽霊だけが怖いわけではない、出てくる人のほとんどが人間としてのタガは外れている。 その元になったお話をいたしましょうか。 下総の国に与衛門という男が杉という妻と暮らしていた。杉の連れ子に助(すけ)という女の子がいたが、残念ながら醜い容貌の子であった。与衛門は助を嫌い、川に投げ込んで殺してしまう。 杉は与衛門の我が子に対する殺意を感じたので、殺さないでと夫に懇願するが与衛門が「あいつを殺すか俺と離縁するか。」といわれ結果として、与衛門の悪行を黙認してしまう。(まるで、子どもを虐待して殺す同居男性とそれを黙認した母親のように思えませんか) その後杉と与衛門との間に累(るい)という娘生まれるが、これが助とそっくりの残念な容貌だった。しかしそこは血のつながった我が子ということで、虐待することもなく大切に育てる。 村人たちは助が重なって生まれてきたと、その子を累(かさね)と呼ぶのだった。 累は両親に死なれたが、家屋敷、畑などそこそこのものを残されてそれなりの暮らしをしていた。病で苦しんでいる谷五郎(やごろう)を累が助けて看病したことから、親しくなり入り婿のような形で夫婦となる。助けられて感激したのもつかの間、谷五郎は累をうとましく思うようになる。 町で気にいった女ができた谷五郎は、累を殺して財産を乗っ取ろうと決意する。 ある日、二人で川ばたを荷物を背負っている時に、累の背中を蹴って川に突き落とし、川に落ちた累の顔や胸を足で踏みつけるという残酷な殺し方をする。 その時村人数人がその様子を目撃したという。しかし、誰もそのことを話さなかった。 その理由 伝説には2種類の話がある その1 累というのは性格が悪い女だったので、殺されても村人がかわいそうと思わなかったから 。(病で苦しんでいる旅人を助けて看病すると言う話があるし、殺されても仕方がないほどの悪女だったのだろうかと私は思う。性格が悪いという話で村人が自分の行為を正当化しただけのように思われる) その2 累の性格は普通だったが、谷五郎の殺し方があまりに壮絶だったので、うっかり目撃したことをしゃべると、谷五郎にどんな仕打ちをされるがという恐怖で黙るしかなかった。(確かに犯罪行為を身体を張ってとめるのは怖くてできないだろうが、通報するとか自分でできる範囲のことはあるだろう。殺人を見て見ぬふりをすることは罪ではないだろうか) その後、谷五郎は次々と結婚するが妻はすぐに死んでしまい。6人目の妻が少し長生きして、菊という娘を産んだ後死んでしまう。 (続く)
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