カテゴリ:私のすきなこと
(続き) 六助は事情を知らないので「久しくお会いしていませんが、吉岡先生はお元気ですか。」と聞く。園は涙ながらに、父が京極内匠に闇討ちにされ、母と妹三人で京極を求めあちこちと旅をした。それぞれが別れて探すうち、妹の菊は京極らしい人物に返り討ちにあって落命してしまったことを話す。その話を聞いて、六助も涙を流し、共に仇討ちの旅に出ようというのであった。 そこへ、奥の部屋から老女が現れ、「私は一味斎の妻の里です。孫の着物が干してあるのでどういうことかと思い、この家に上がって様子をみていました。六助殿の孝心の厚さ、夫を思う気持ちの強さを知りました。ここに夫の愛用した刀を持っています。これをそなたに授けましよう。」 ここで、六助が一味斎の仇討ちに参加できるよう、六助と園は三々九度の杯をかわす(婿であれば父としての一味斎の仇をうつことが正当化できる) その時、村人たちが戸板に載せて、老女の死体を運んでくる。 「数日前に斧右衛門のおふくろの姿が見えないようになり、村内で探していたところ、とある橋の下に切り殺されて捨てられていたのじゃ。このようなむごいことをしたのは誰じゃろう、仇をとってやりたいが、わしら百姓ではどうにもならん。六助殿助けて下され。」 六助が死体の顔を確認すると、なんと微塵弾正が自分の母だと紹介した老女ではないか。 「これは斧右衛門の母に間違いはないか。」と六助 「あたりまえじゃ」 「さては微塵弾正は、縁もゆかりもない老女をたぶらかし母といつわって、この六助を騙したな。この仇は六助が必ずとってやるから、早く葬式を出してやりなさい。」と言い切ったので、百姓たちは気を取り直して去っていく。 園と里は話を聞いていて、「そのような卑怯な人間とはいったいどのような顔をしているのです。」と尋ねる。 六助はその顔を説明し、左の眉にほくろがある30過ぎぐらいの人物であるという。 「ちょっと待って、その顔は私たちの仇京極内匠と同じです。ここに菊が書いた京極の人相書きがあります。見てください。」とその人相書きをみると、二人が同一人物であることがわかる。 園と里は仇が見つかったと大喜び、いざ仇討ちにと勇み立つが、六助はその前に「自分が、木刀を持って相手と立ち会い、今日の立ち会いの仕切り直しをして相手をこてんぱんにやっつけて決着をつける。 そのあと、二人が正式に仇討ちをすると良い。」というそこで六助は裃に服を改め、「ぼくにも仇をうたせて。」という弥三松と里と園を連れて城へと向かうのであった。(おしまい) (おまけ) 省略された段では、あらためて試合をして、六助は京極をさんざんにうち負かす。翌日正式の仇討ちということで、彦山権現の境内で仇討ちを行い、京極はうちとられる。 もともとの伝説では、京極は自分は剣道指南役で士分のものとしか試合をしないと逃げるので、六助は隣の藩の加藤清正の所に行って、士分に取り立ててもらおうとするが、自分の家来と相撲を取って勝ったら取り立ててやると言われ、50人と試合をして打ち負かす。そこで、清正から京極を試合をしたいと言ってもらって、やっと試合をすることができるようになった。あとは京極を打倒してめでたしとなる。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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