カテゴリ:私のすきなこと
九郎助住家の段(くろすけすみかのだん) 九郎助の家では、妻小よしが綿繰り(綿の繊維を撚って糸にする)をしている。九郎助の甥で小悪党の矢橋仁惣太(やばせのにそうた)がやってくる。この家に見慣れない女性の姿があるという話を聞いて、様子を確かめにやってきたのだ(葵御前については懸賞金がかかっている) 九郎助がいないので、鎌をかけたりして葵御前のことを聞き出そうとするが、小よしは仁惣太の悪党ぶりをしっているので相手にしない。仁惣太は「様子ははっきりしないが、十分葵御前がいる可能性はある訴人して金をもらおう。」心で思って去っていく。 葵御前は、小まんと別れて以来何の音沙汰もないことを心配しているので、小よしは大丈夫だからと慰めている。 九郎助と小まんのこどもの太郎吉が魚釣りでみつけたと、人間の腕を持って帰ってくる。 その手が握りしめているものが気になると、手を開けさせようとするが、どうしても開かない。 太郎吉が指を開けさせると意外やすんなりと指が広がって中のものを取り出すことができた。 見てみると、源氏の白旗だった。これは小まんに託されたものということは・・・ この腕は小まんのものに違いないと、一同は驚き嘆いていた。 そこへ、仁惣太の注進を受けた、斎藤実盛と瀬尾十郎(せのおじゅうろう)が村役人を引き連れて詮議に来た。 とっさに葵御前と小まんのものらしい腕をもって、小よしは奥の間に隠れる。 瀬尾は最初からけんか腰で、葵御前を早く出せ、さもないと家探しするぞと言い募る。 実盛は穏やかに「源氏の胤をさがすとはいえ、女子であれば助けよと重盛様はおっしゃっている。隠し立てせず、真のことをいうべきぞ。」と諭す。 九郎助はまだ出産を控えており、男とも女とも判別つかないので、産み落とすまで時間の猶予をくれと頼む。 瀬尾は「そんな悠長なことをいっておられるか、この場で女の腹を裂いて確かめて、女ならば助けてやる」とうそぶく。 本当に腹を裂きかねまじき勢いなので、九郎助は必死でとめているところへ。 小よしが、葵御前がお産をされたと子どもをくるんで、しおしおと登場する。 瀬尾はそれをみて、さては男か此方へよこせというが、実盛は「いや、検分は私の役目。まず私が赤子を確かめる。」と言いながら、心ではなんとか女といいくるめて命を助けてやらねばと考えている。 子どもを受け取り、さてとおくるみを開いてみたら、女の腕がでてきた。 瀬尾は「なんじゃ、これをうんだのか」と言葉を失っている。 実盛は「唐天竺には、皇帝の妃が鉄の球を生んだという例もあるので、こういうこともあるやもしれぬ。」と何とか理屈をつける。 瀬尾はとりあえずこの顛末を清盛に報告してくると言って家を出たが、何かおもいついたことがあるらしく、植え込みの中に身を隠す。(つづく) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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