オランダの街角、とくにアムステルダムを歩いていると、独特のイスラム的服装をしたインドネシア人やインドネシア料理店をあちこちで見かけます。中学や高校の歴史の授業で習ったので、ご存知の方も多いかもしれませんが、オランダはかつてインドネシアを約350年に渡り、海外植民地として支配してきました。なので、現在でもインドネシア(人)との繋がりは深く、オランダでの永住者、在留者が数多くいます。
それでは、オランダの植民地支配(政策)の歴史を簡単におさらいしておきましょう。英仏やスペイン、ポルトガルなど他の列強と同様、オランダも16世紀から、海外での領土・資源獲得を目指して、遠くアジアまでたびたび外洋船を派遣し、拠点を築いていきました。オランダ「東インド会社」が交易で求めたのは、砂糖やコーヒー豆、茶葉、タバコ、胡椒、陶磁器など様々なものでした(写真は、アムステルダム・ダム広場での光景)。
ちなみに「東インド会社」の「東インド」とは現在の「インド」でも「インドの東部地域」でもなく、大航海時代以前からヨーロッパ人が憧れた、アフリカ大陸東海岸やアジア全域のことを指しました。15世紀末にコロンブスが新大陸に到達した時、そこを「インド」の一部と勘違いし、西のインドと名付けました。カリブ海に浮かぶ島々が現在でも「西インド諸島」と呼ばれているのはその名残です。
オランダの海外進出範囲は、インドネシア、台湾、スリランカ、西アフリカ・ギニア、南アフリカ、カリブ海、北米やブラジルの一部…と世界中に及びました。現在はその多くを失っていますが、カリブ海のキュラソー島(ヤクルトのヴァレンティン選手はこの島の出身で、オランダ国籍ですね)などは、今もそのまま海外領土として維持しています。
なかでも、インドネシアは最も長く植民地支配を続けた地域で、その支配期間は、1598年から約350年間にも及びました。しかしこの間、領土獲得のために要した莫大な戦費が負担となり、オランダ「東インド会社」の経営も悪化しました。その後19世紀に入って、フランス革命以降のヨーロッパ政局の混乱で、オランダは海外領土の多くをイギリスに奪われることになります(写真は、ダム広場近くのトラムの停留所)。
一方、オランダが支配を維持したインドネシアでは、20世紀以降、植民地支配に利用することを目的に初等、中等学校、医師学校、官吏養成学校なども設けられ、オランダの大学に留学する者も増えてきました。こうした流れの中てインドネシアに知識層が生れ、民族自立の意識も生まれてきます。
1939年に第二次世界大戦が勃発。1940年5月にはドイツの侵攻をうけてオランダ本国は降伏し、大戦終結までドイツの占領下におかれます。一方、 オランダ領東インドには、1942年2月末に日本軍が侵攻。植民地軍は全面降伏し、オランダによる約350年の東インド支配は終焉することになりました。列強の植民地支配自体を肯定することは出来ませんが、良くも悪くもオランダとインドネシアは現在でも深い関係が続いています。
という訳で、3日目の夜の食事は、アムステルダムでインドネシア料理を食べようということになりました。お邪魔したのはアムスでも一番の老舗で、人気店の一つ「サマ・セボ」(写真。下の写真も同じく「サマ・セボ」)です。2日目に行った「シーフード・バー」からも、歩いてすぐの距離にあります。
インドネシア料理は、日本でも最近はそこそこ知られるようになりましたが、タイ料理やベトナム料理に比べるとまだまだ専門レストランは少なく、知名度はまだまだです。皆さんは、インドネシア料理と言われたら、何を連想されるでしょうか? ナシゴレン(インドネシア風焼き飯)? それともサテ(肉の串焼き)ですか?
僕らも正直言って、日本でインドネシア料理を味わった回数は数えるほどです。なので、ほとんど初心者みたいなもの。そこで、一皿で10種類くらいの代表的料理が味わえるという、お得なワンプレート・ディナーを選びました。
飲物はやはり、辛くてスパイシーな料理に一番合うビールも一緒に!(なぜかこの店、メニューにインドネシアのビールがなかったので、オランダのビールを頂きましたが)(ワンプレート料理の下にはナシゴレンがあるのですが、隠れて見えないので、拝借した画像で「ナシゴレン」をご紹介(C)https://bali.navi.com )。
せっかくなので、ついでにもう一皿、代表的な料理の「ミーゴレン」(インドネシア風焼きそば)の写真もご紹介(画像提供元は同じ、bali.navi.com)。インドネシア料理は、アジアの色んな国の料理の美味しいエッセンスが凝縮されたような印象です。
さて、晩ご飯の後は、恒例のバーでの呑み直し。きょうは日本のバーテンダー仲間から教えてもらったアムステルダムを代表するカクテル・バー「テイルズ&スピリッツ(Tales & Spirits)」へ。僕らの泊まっているホテルからも近い距離です。
明るくフレンドリーな若いバーテンダーがたくさんいます。店内は意外とカジュアル。メニューにはオリジナル・カクテルが豊富です。
バックバーはこんな感じ。日本のバーのボトルの品揃えとは少し違いますね。見たこともないリキュールのボトルもいっぱい。カクテルに使うスパイス類が入ったガラス瓶も並んでいます。
こちらが日本のバーテンダーとも親しいAirto Cramerさん。共通の友人がいることもあって、初対面なのにすぐ打ち解けられました。聞けば、「実は明後日から日本に行って、*****にも行くんだよー」と。このタイミングにも驚きでした。
せっかくなので、最初の写真のバーテンダー氏ともども、店のオリジナル・カクテルを3杯つくってもらいました。驚くのは、提供するまでの早さ。鼻歌をうたいながら、そして少しオーバーなパフォーマンスも見せながら、あっと言う間でした(以下の写真3枚。レシピは聞き忘れました(笑)。色から想像してくださ~い)。
彼らのバーテンディングを見ていて思う、「日本人バーテンダーのバーテンディングとの違い」は、使う道具はほとんどがステンレス2ピースのボストン・シェーカー、材料の分量を測り方は結構アバウト、そして、とにかく仕事が早いということです。日本人バーテンダーみたいに、ゆっくり丁寧につくりませんが、クオリティは遜色ありません。
何よりも、スタッフはみんな、とことんフレンドリーなのが嬉しいです。バー業界にとって、「フレンドリーであること」ってとても大事ですね(Airtoと僕の2ショット写真は、Instagramにアップしています)。という訳で、美味しいカクテルを堪能して、アムステルダム3日目の夜も更けていくのでした。
<9回目に続く>
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Last updated
2022/11/05 10:19:39 AM
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うらんかんろ
大阪・北新地のオーセンティック・バー「Bar UK」の公式HPです。お酒&カクテル、Bar、そして洋楽(JazzやRock)とピアノ演奏が大好きなマスターのBlogも兼ねて、様々な情報を発信しています。
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▼Bar UKでも愛用のBIRDYのグラスタオル。二度拭き不要でピカピカになる優れものです。値段は少々高めですが、値段に見合う価値有りです(Lサイズもありますが、ご家庭ではこのMサイズが使いやすいでしょう)。▼切り絵作家・成田一徹氏にとって「バー空間」と並び終生のテーマだったのは「故郷・神戸」。これはその集大成と言える本です(続編「新・神戸の残り香」もぜひ!)。▼コロナ禍の家飲みには、Bar UKのハウス・ウイスキーでもあるDewar's White Labelはいかが?ハイボールに最も相性が良いウイスキーですよ。▼ワンランク上の家飲みはいかが? Bar UKのおすすめは、”アイラの女王”ボウモア(Bowmore)です。バランスの良さに定評がある、スモーキーなモルト。ぜひストレートかロックでゆっくりと味わってみてください。クールダウンのチェイサー(水)もお忘れなく…。
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