【カクテル・ヒストリア第4回】
信じる「逸話」は真実か
有名なクラシック・カクテルにはそれぞれ、「誕生にまつわる逸話」が伝わっている。しかし残念ながら、後世の「作り話」がさも真実であるかのように一人歩きするケースも目立つ(写真左=世界初の体系的カクテルブックと言われるJerry Thomas著「Bartender's Guide」=1862年刊)。
有名なところでは「マルガリータ」の逸話。「考案した米国のバーテンダーが、流れ弾で亡くなった恋人の名前を付けた」という話が今なお、日本で出版されるカクテルブックなど定説のように取り上げられており、本当の話と信じてお客様に披露してしまうプロのバーテンダーも少なくない(欧米では、この説はほとんど無視されていると言うのに…)。
カクテルの女王と言われる「マンハッタン」(写真右)も、英国の元首相チャーチルの母で米国人のジェニー・ジェロームが結婚前、「(マンハッタンで開かれた)選挙運動中のパーティーのために考案した」と紹介されることが多いが、後年、チャーチル自身が反証を示しながらこの説を否定している。
「サイドカー」も「パリのハリーズ・ニューヨークバーのオーナー、ハリー・マッケルホーン(Harry MacElhone)が常連客のために考案した」との説明をしばしば見かける。
ハリーズ・バーがサイドカーの普及に貢献したことに異論を挟む人はいないが、マッケルホーンが自身のカクテルブックで、「(友人でもある)パット・マクギャリーのレシピである」と紹介していることからも、マッケルホーン考案説は間違いであることは明らかだろう。
近年では、「スプモーニ」や「レッドアイ」という人気カクテルも実は、イタリアや米国ではなく、日本で誕生し国外へ伝わったことがほぼ確実になっている(この稿で紹介した5つのカクテルも含め、詳しくは、筆者のブログでの連載「改訂新版:カクテル――その誕生にまつわる逸話」をお読み頂ければ幸いである。 ◆URLは → http://plaza.rakuten.co.jp/pianobarez/ )。
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Last updated
2021/06/11 12:22:27 PM
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うらんかんろ
大阪・北新地のオーセンティック・バー「Bar UK」の公式HPです。お酒&カクテル、Bar、そして洋楽(JazzやRock)とピアノ演奏が大好きなマスターのBlogも兼ねて、様々な情報を発信しています。
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▼Bar UKでも愛用のBIRDYのグラスタオル。二度拭き不要でピカピカになる優れものです。値段は少々高めですが、値段に見合う価値有りです(Lサイズもありますが、ご家庭ではこのMサイズが使いやすいでしょう)。▼切り絵作家・成田一徹氏にとって「バー空間」と並び終生のテーマだったのは「故郷・神戸」。これはその集大成と言える本です(続編「新・神戸の残り香」もぜひ!)。▼コロナ禍の家飲みには、Bar UKのハウス・ウイスキーでもあるDewar's White Labelはいかが?ハイボールに最も相性が良いウイスキーですよ。▼ワンランク上の家飲みはいかが? Bar UKのおすすめは、”アイラの女王”ボウモア(Bowmore)です。バランスの良さに定評がある、スモーキーなモルト。ぜひストレートかロックでゆっくりと味わってみてください。クールダウンのチェイサー(水)もお忘れなく…。
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