|
テーマ:猫のいる生活(139146)
カテゴリ:カテゴリ未分類
昭和45年(1970年)11月25日のこと。 その日、私は務めていた放送局の映画試写会の仕事でホールに行ってました。 上映していた映画は黒澤明監督の「天国と地獄」です。 上映途中でニュースが入ってきました。 「三島由紀夫が自衛隊市ヶ谷駐屯地でクーデターを促す演説をしているらしい」 そしてあの壮絶な割腹自殺と云う道を歩んでしまうのですね。 だから自衛隊員自らクーデターをおこし、憲法改正をしようと云うものですが、その後の研究でさまざまな人がさまざまな憶測をしていて、本当の動機はわかりません。 拉致されていた自衛隊総監が「やめなさい」と言葉を発すると「介錯するな、とどめを刺すな」と叫んだと云います。 介錯人の楯の会 森田は介錯を3度失敗し、代わって古賀が頸部の皮一枚残すという古式に則って首を切断するのです。 三島の割腹は小腸が50cm ほど外に出るほどの堂々とした切腹だったといいます。 遺体の顔はまるで生きているようだったと云います。 これは警察官達が「自分たちが普段から蔭ながら尊敬している先生の御遺体だから、特別の気持で丹念に化粧しました」と施したものだったのです。 監督、主演、美術まで三島本人がやった映画です。 物語は二・二六事件を起こしたグループの中核メンバーである青年将校が、結婚したばかりの主人公を巻き込みたくない仲間の配慮で決起を知らせなかった。 そのため逆に反乱軍となった仲間たちを鎮圧しなければならない立場になった青年将校が割腹自殺をとげ、妻も後を追うと云うストーリーです。 この映画のほとんどは青年将校が割腹自殺をとげるシーンにさかれています。 三島の割腹と同じように、腹を真一文字に切って、はらわたが外に飛び出してきます。 ほとんど切腹の作法はこうするものだと云わんばかりの映画だと感じました。 しかしまさか三島がこの映画を演じたのとまったく同じ自殺をするとは公開当時、誰も思いもしませんでした。 新渡戸稲造は、著書「武士道」のなかで切腹について「腹部を切ることは、そこに霊魂と愛情が宿っているという古代の解剖学的信仰に由来する」と書いています。 日本の封建時代の道徳観念のもとでは、不始末をおこした場合にその責任をみずから判断し、自分自身で処置する覚悟を示すことで名誉を保つ意味がありました。 しかし江戸時代ともなると天下泰平の世に慣れた侍には、傷みに堪えて切腹するほど性根の座った人はまれで、切腹者の前に置かれる三方には短刀ではなく、木刀や扇子が置かれていました。 もちろん木刀や扇子で腹切りができるワケがありません。 切腹者がそれらを手にした途端、介錯人が首をはねて切腹にみたてていたのですね。 赤穂浪士も、身分が高かった大石良雄ら数人以外は、扇子や木刀を使用しました。 中には「自分は切腹の作法を知らない。どうすればいいのか」と聞いたという逸話も残っているほどです。 昭和37年(1962年)に公開された仲代達矢主演の「切腹」と云う映画です。 浪人(仲代達矢)が井伊家の門前に来て「主家の没落後、生活は困窮し、志もないまま惨めに生きてきた。恥を晒すより、潔く切腹して果てようと思う。井伊家の玄関先を貸してほしい」と申し出るのです。 井伊家の家老は「又、来よったか」と舌打ちします。 窮迫した食い詰ものの浪人が、切腹すると称して大名の玄関先にやって来るのですが、大名側にしてみれば庭先を血で汚されたくない。 それでいくばくかの金銭を与えて、退散してもらうと云う風潮があったのですね。 その浪人が切腹の場が整って、いざ切腹という時に、ある出来事を語り始めます。 浪人が来る数日前にある若侍が同じ理由で井伊家を訪ねてきます。 若侍に本当に切腹する覚悟なんてありません。 お金にしようと画策しただけ。 だいいち自身の持っている刀は「竹光」で腹なんか切れるものでない。 ところが井伊家の家臣は「竹光」だと見抜いておきながら、懲らしめのために本当に切腹させることにしてその準備をしだしたのです。 当の若侍は狼狽して青くなりました。 「一両日待ってくれれば、必ず戻って来て切腹する」と懇願したものの許されなかったのです。 観念した若侍は、半ばやけくそになって竹光を腹に突き立てました。 しかし竹光で切腹などできません。早く切れと急かす介錯人。 とうとう若侍は舌を噛み切り、全体重を掛けて竹光を腹に突き刺し果てたのです。 実はこの若侍は件の浪人の娘婿だったのですね。 「一両日待ってくれと懇願する婿に、なぜ最後の情けを掛けてやれなかったのか。武士の面目とは、表面を飾るだけのものなのか。もっと適切な対応の仕方があった筈だ」と家老をなじります。 体面をつぶされた井伊家の面々はいっせいに浪人に襲い掛かりますが、みんな一刀のもとに切られていきます。 ついに刀ではかなわないと種ケ島(鉄砲)を持ちだした井伊家の武士に討ち取られた浪人は、自ら切腹して果てると云うストーリーです。 この映画は2011年に「一命」と云うタイトルでリメイクされています。 主演は市川海老蔵。 最後に「憂国」話しに戻りますが、最近、韓国の人気女流作家 申(シン)京淑(ギョンスク)が「憂国」からの盗作を認め謝罪、執筆活動の自粛を発表しました。 文学賞の審査委員も辞退することになったのです。 韓国メディアは「なぜよりによって三島由紀夫の作品なのか」と嘆く声が出ているそうです。 中之島公園の猫たち-「SAVE THE CATS IN NAKANOSHIMA PARK-」 整備工事で閉鎖になった大阪の中之島公園。そこに暮らしてた約70匹の子供たち。 心あるボランティアのご尽力で「猫の部屋」と呼ばれる仮住まいを得ることができました。 すこしずつ里親さまも決まってきてますが、まだまだ多くの子供たちが良いご縁を心待ちにしています。 なを「中之島公園の猫たち」では恐縮ですが現金によるご支援は一切お断りしております。 「公園ねこ適正管理推進サポーター制度」が実施されています。 そちらのリンクもありますので、大阪市在住の方はぜひ見てください。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
|