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テーマ:猫のいる生活(136651)
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飛行機と云うのは、誰しもイメージする通り、動体に主翼と水平尾翼、そして垂直尾翼がついてるものですね。
主翼は翼の上下に空気の循環が生じ、見かけ上、翼の下側より翼の上側のほうが空気の流れが速くなる断面形状をしているので、機体が宙に浮くと云う飛行機のメインになるもの。 そして飛ぶ方向や上下を司るのが水平尾翼と垂直尾翼。 左右に伸びるものを水平尾翼、上下方向に装備されるものが垂直尾翼はご承知の通り。 ![]() ![]() 全翼機とは文字通り全てが翼の、翼しかない飛行機で、この特異な形はライト兄弟の初飛行以前から人々を引き寄せてきました。 その全翼機が目指す世界は、無尾翼機の目指すところと同じです。 つまり邪魔な尾翼をなくせば「抵抗の少ない理想の機体が出来上がるのでは」というものです。 全翼機はこれを一歩進め「胴体もなくしてしまえ」と云うものです。 ![]() よく映画なんかの空中戦シーンで垂直尾翼や水平尾翼を破壊されて、機体がキリキリ舞いになって落ちて行くシーンがありますよね。 全翼機のメリットは全体の空気抵抗が減ることと、通常の飛行機より軽量化できることらしいけど、最大の欠点は機体の安定性が悪いと云われてます。 「ホラね」 実際、全翼機で完全に実用機となったものはアメリカ空軍のステルス戦略爆撃機「B-2」しかないのです。 ![]() そして飛行制御は機内に設置されたコンピュータを使って、パイロットが操縦桿やラダーペダルに加えた動作をセンサーによって感知。 それを電気信号で伝えて、油圧式のアクチュエータを動かすと云うフライ・バイ・ワイヤが4重にも組み込まれてます。 ![]() 昔の飛行機だったら、例えエンジンが止まっても、人間の操縦でなんとか胴体着陸したなんて映画のシーンによくでてきますが、コンピュータに全権委ねてたら、肝心のコンピュータ壊れたら万事休す。 たちまち垂直に落下なんでしょうねぇ。 要するに航空力学上、飛ぶことのできない飛行機をコンピュータ制御でムリヤリ飛ばしているようなモンです。 ![]() ![]() 特に縦(ピッチ)安定を得にくいことはだれの目にも明らかですが、動的な方向(ヨー)安定も確保しにくい面があります。 コンピュータが発達した現在とはちがい、50年以上も前では機械的な対応だけで安定を得ることは難しかったのですね。 実際もこの辺が解決しきれずに、試験機から抜け出せなかった機体がほとんどです。 特に飛行中は確保できていた縦方向の安定性も離着陸時には不足するという状況になって、特に大型機ぢゃない場合は離着陸時のために翼面積を大きく取らなくてはなりません。 そうすると、翼面荷重は低くなって、高速飛行性が失われてしまいます。 ![]() ホルテン兄弟は、早くからグライダーや全翼機の魅力に魅入られ、ヘッセン州のレーン山地の中の海抜950m の丘"ヴァッサークッペ"の競技会で子供向けスケールモデルグライダー部門で1931年~1933年に連続優勝。 1931年に全翼機を初飛行させてますが、このとき兄のバルター18才、弟のライマールは実に16才だったのです。 主として設計は弟のライマールが、パイロットでもある兄ヴァルターが試験飛行をおこなっていました。 ![]() ![]() 1941年に開発されたこの機体は時速1,000km を超える当時としては画期的な開発でした。 最初の機体は若干の方向安定性を欠く傾向が見られ、操縦したヴァルター自身、垂直フィンの取り付けを検討したようですが、ほぼ満足な飛行性能だったようです。 この後、改良が続けられ終戦時にはバージョン6まで製作途中でした。 一番完成度が高かったバージョン3は終戦後、製造していたゴータ社の工場で発見されアメリカに持ち帰えられてます。 現在、国立航空宇宙博物館(NASM)のP.E.ガーバー保存修復施設で復元されましたが、機体サイズが大き過ぎてNASM本館に展示出来ず、ガーバーーの倉庫内に保管されているそうです。 この機体はNASMの資金難から、日本に売り込みがありましたが、値段が高くて誰も手を挙げなかったと云うオチまでついてます。 ![]() お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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